こちらの記事では漫画『アウターゾーン』の最終回に関する考察を紹介しております。
『アウターゾーン』は週刊少年ジャンプで1991年から1994年の間(休載時期あり)掲載されていて、全117話・15巻ものコミックが発売された漫画です。
その後、続編や小説も発行されているぐらい人気がありました。
ちょっと不思議なストーリー展開が強く印象に残ってる方も多いはず。
1話読み切りで描かれていまして、『結末』のようなものは毎回のお話にあります。
そして、登場人物も毎回変わるのですが、実は一貫して登場する女性がいるのです。
その名は『ミザリィ』。
しかし最終回まで読み終えてもなお、『ミザリィ』『アウターゾーン』についてはいろんな謎が残されたままにされていました。
そこで、漫画のキーパーソンである『ミザリィ』、そしてタイトルとなっている『アウターゾーン』について、そしてこの漫画の終わり方についての考察をまとめてみたいと思います。
アウターゾーンの概要
現実の外側(アウター)の不思議な世界で起こる出来事を、『ミザリィ』と言う人間ではない女性?が案内していくお話です。
基本的には1話読み切り。
そして、登場人物も毎回変わっていきます。
”現実では起こりえない不思議な現象”が数多く描かれていて、独特の雰囲気を持つ漫画でした。
アウターゾーンという漫画について
『ミザリィ』…物語の語り手・案内人。
基本的には「美沙里」というアンティークショップ(話によって店が変更することあり、占いの館だったりペンションだったり…)にいて、人々をアウターゾーンに誘う。
緑色の髪の毛はウェーブがかかっていて、美しくスタイル抜群の外見を持っている。
ミザリィ曰く、名前の由来は「ミザリィ=不幸」というところから。
自分を「不幸に導く案内人」と自称していますが、決してそうとは言えないエピソードも多々存在。
『アウターゾーン』…現実の外側(アウター)の不思議な世界。
ミザリィが「物語を案内する」という形式で登場する漫画ですが、彼女は単なる傍観者としての案内人ではありません。
物語自体にも絡んでくることもあるし、色っぽい衣装等で読者を違う意味でハラハラさせてしまう不思議な女性なのです。
とがった耳が特徴的で、彼女が人間なのか不明な点がまた興味深い!
ただ…その耳は、一般人には見えない仕様となっているようでして、それも謎!
片目はいつも隠れたままですが、ラストにはなんと開眼するエピソードがあります。
本人も、自分は人間ではないと明言しているのですが、結局その正体は教えてくれないままでした。
内容は、「因果応報」が多く。
悪いことをすれば悪いことが降りかかる。
逆に良いことをすれば良いことが帰ってくるという点が主軸となって展開されていると思われます。
ホラーテイストで描かれていて、少年へむけてのアクション、冒険がメインであった当時のジャンプ的にも異色の漫画であったと言えますね。
しかし、決して怖いだけの漫画ではありません。
互いの愛に気が付いたり、後悔した出来事を乗り越えたり、新しい幸せを見つけたりと、みんながみんな不幸となる結末ではないのです。
ホロリとさせるエピソードなんかもあって、毎回いろいろな気持ちで読み終えることが出来ますよ。
そして、この「アウターゾーン」…読み切りで描かれていて、登場人物も毎回違うのですが、作者のお気に入りなのか、頻繁に登場するキャラクターが存在しています。
主たるは”マジックドール編”として、何話も描かれていた「火牙刑事」と「マキ」です。
アウターゾーンで多々活躍する二人ですが、そのエピソードは是非漫画を読んでいただきたいと思います!
アウターゾーンの最終回をネタバレ解説
最後のエピソードでは、ついにミザリィが主人公として描かれました。
まさかの5話にわたる大作!
読みごたえもある上、ずっと読んできたファンにはたまらない、過去の登場人物が再登場するという嬉しい特典付のお話です。
アウターゾーンのラストエピソード:狙われたミザリィ
ミザリィを邪悪な生き物と考える草波龍志郎に命を狙われることから物語が始まります。
髪の毛を刃に変えて応戦するミザリィ…たしかに人間じゃない生き物(笑)。
手から刀を出したりとやりたい放題でした。
ところで何故、草波がミザリィを狙ったのでしょうか。
それはなんと、過去のエピソードで生物兵器を開発し、とある島で人体実験を行った企業の会長が背後にいたのです!
また、草波はたった一人の妹を人質にとられていて、指示に従っていたのでした。
開発されていたのは人間を喰らう変な虫なのですが、何のためにそれを開発したのかは…理解不能(笑)。
本当に謎の多い漫画です。
そして、実はこのお話には、これまでに何回も登場した火牙刑事、マキが登場します。
もう人間になってしまったはずのマキが、過去の話という設定で、再び人形の姿になっていたのはちょっと嬉しかったですね。
他にも的矢という記者も再登場!
これまでのエピソードもちゃんと活かすあたり、ラストに相応しい壮大さです。
さて、ミザリィなのですが、なんと店ごと爆発させられて、絶体絶命かと思いきや…何のことはなく。
いつも隠されていた方の目を開眼させて、あっという間に敵共を撃退でした…。
スムーズかつスマート!
そしてミザリィは姿を消して…このお話は終了です。
ラストエピソードはミザリィの非人間的要素がより濃厚に描かれているお話ですね。
余韻が残っていて、個人的には好きな終わり方でした。
アウターゾーンの最終回:メッセージ
ラストエピソードでさらりと敵を倒してしまったミザリィ。
それからいよいよ正体発表かと期待させた最終回。
しかし、まさかの結末…。
なんと最終回ではこれまでのお話を全く無視して、自由気ままに振る舞うミザリィが描かれていました。
なぜか服を脱いでお風呂に入り、読者に語りかけるという驚きの展開。
自分を愛してくれている人には裸を見せてもいいからという謎な理由をつけての優雅なお風呂タイム…。
最後まで不思議すぎる…!
そして、その語りかけの中で、ミザリィは漫画が終わるのは”自分の意志”だと述べています。
気が向いたらジャンプに帰って来る…らしく、今からは読者の世界に行くのだと語るミザリィ。
そこで自分はもちろん「不幸」をもたらすこともあるかもしれないとのこと。
しかし、「不幸」は「幸福」につながる伏線でもあるから、悲観しない欲しいとも言っていました。
確かにそうですね…。
それからいきなり話題転換!
夢をあきらめないことの大切さを語り、”やろうと思えばなんでもできる!”と微笑みかけるのでした。
そしてミザリィは、アウターゾーンの結末はその人次第で決まると言い、読者のハッピーエンドを願うと言って、この謎だらけのお話を閉じたのです。
展開が急すぎて、最後さえも謎!
本当にこんな漫画はなかなかないですよね。
癖になりそうです。
結局正体は不明のままで終わってしまいましたが、このお話も、やはり余韻があって考えさせられるものでした。
アウターゾーンにおけるミザリィの正体
結局正体について語られることはなかったミザリィ。
続編にもそのことは描かれていませんでした。
でも、あの容姿といい、身体から刀が出たり、化け物をなぎ倒したりと絶対に人間ではありません。
先に述べたように、本人もそう言っています。
しかし、正体を言及せず濁しておくことが、作者の狙いだったのではないでしょうか。
それにより、ミザリィの不思議さが一層増すような気がするのです。
そもそも非日常空間の『アウターゾーン』を描いた漫画であるので、案内人も謎めいている方がより「非日常」を感じさせて物語に入りやすくなりますよね。
そして、ミザリィはタイトでミニな服を纏い、それすら着用せず裸の時さえあり、少年たちをときめかせるセクシーな存在でもありました。
私も小学生の頃に読んで、ドキドキしたのを覚えています。
そのドキドキが、漫画のミステリーな部分だったのか、セクシーな部分だったのか、それは正確には覚えていないのですが。
相乗効果、または、そのドキドキが恐怖心からくるものだと錯覚させる狙いもあったのかもしれません。
結局、ミザリィの正体は明かされず、アウターゾーンも謎を残し…ジャンプの中でも異彩を放っていた漫画「アウターゾーン」でした。
アウターゾーンの続編を紹介
1994年に掲載終了したにも関わらず、再び2011年に出されたのがアウターゾーン・リビジテッド。
確かにミザリィが、アウターゾーンの最終回にて「続きがあるかもしれない」と語っていましたが、まさかそんな月日を経て描かれるとは思いませんでした。
不思議な雰囲気そのまま。
また「ミザリィ」に会えて嬉しかったです。
アウターゾーン・リビジテッドとは?
掲載誌の方が、ジャンプから「コミック特盛」に変わったため、余計にお色気が増加していたような気がします。
お話のほとんどにミザリィが傍観者ではなく、登場人物として関わっている点も少し変わった部分かと思います。
しかし、リビジテッドでも、ミザリィは『アウターゾーン』の頃のままで、1話読み切りのストーリーは変わりません。
そしてやはり「不幸」をベースにしつつも、最後は自分で「幸運」掴み取る場合があるストーリー展開です。
むしろ、リビジテッドでは、結果「幸運」の方が多いと思いました。
捨てられた猫がサンタクロースのお手伝いをするお話、熟年夫婦が互いの愛を確認するお話、そしてなんとミザリィが「みいこ」という女の子になるお話もあるのです。
リビジテッドの方が、もしかしたらくすりと笑える場面も多いかもしれません。
アウターゾーンの世界観はそのままに、少し大人びた、少し明るめのストーリー満載ですので、是非読んでみていただければと思います。
まとめ
「アウターゾーン」とは結局どういうことだったのでしょうか。
ミザリィが言うには現実世界と隣り合わせの外側の世界。
そして時空も場所も飛び越えた世界。
そこでは起こること全てが不思議で包まれているのです。
しかし、アウターゾーンの住民にはそこが現実。
互いに相容れない存在ではありますが、実はどちらも現実世界なのかもしれませんね。
独特な不思議感を体験したい方、ちょっと変わった漫画を読みたい方、ホラーに興味があるけど、そこまで怖いのは無理だという方。
そんな方々は、是非、アウターゾーンを読んでいただきたいと思います。
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