わたしの幸せな結婚(小説版)4巻第5章のネタバレあらすじに感想も

こちらの記事では、わたしの幸せな結婚4巻第5章のネタバレを紹介しております。

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目次

わたしの幸せな結婚4巻第5章のネタバレを紹介!

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第5章:おそれを知らず

狙い

めっきり寒くなってきて、いよいよ冬本番。

そんな寒さの中、は帝都を歩き回っていました。

表向きの鶴木貿易の仕事も休み、甘水直の足取りを追うことに専念しているのです。

しかし、甘水の居場所はいまだ掴めないまま。

それでもある収穫はありました。

これまでの調べから、甘水の目的が帝国の乗っ取りだと確信する新。

とすれば狙うは帝の身柄、そして彼の権威だと新は考え至ったのです。

現在実際に帝都を支配しているのは堯人ではあるものの、そこを狙うのはさすがに途方もない時間がかかる…。

”先に狙うは帝だ。そして美世を狙う可能性もある。”

そう思う新。

しかし、美世の守りはある意味厳重

側に清霞がいる上、異能を持つ戦士が大勢いる屯所にいる美世。

しかも屯所には結界が張られているのです。

それは堯人の宮の、宮内省が総力を結集して張った結界と同レベルのもので、簡単に破れません。

”だとすれば、やはり帝からだ。”

そう思う新は、現在帝のいる宮城の外れにある小さな宮に向かっているのでした。

宮城の門までたどり着くと、新は周囲を見回します。

すると案の定一般の通行人に交じって異様な気配が感じられました。

「作られた異能者…か。」

新はそう呟きます。

異能者でなければその異様さには気付かないとはいえ、あまりの警備の手薄さに宮内庁の甘さを感じるのでした。

「え!」

その時、目を疑う光景が新の目の前で繰り広げられました。

自動車が一台門の前に停車したかと思うと、やせ細った老人が数人に支えられてその車の方へ歩かされていたのです。

”帝!”

なんと帝が連れ去られようとしているではありませんか。

目の前で行われているというのに、門衛たちはその光景が全く見えていない様子。

おそらく甘水の異能により操作されているのでしょう。

”いるのか?この近くに!甘水が!”

しかし新には甘水の姿を確認することはできません。

”薄刃の系列の異能に対抗する手段がないわけではないのだが…。”

新は必死に調べた結果、その手段を見つけていました。

ただし、慎重に使わないと甘水に悟られて、すぐに対策をされる可能性があるためむやみに使えないのです。

そうこうしているうちに帝は車に乗せられてしまいました。

そこで新はを2つ生成します。

1つには帝の乗せられた自動車を追わせました。

そしてもう1つには薄刃の印をつけて清霞の所へ向かわせます。

これで清霞が何だかの行動を起こすと確信して、新は車を追いかけるのでした。

異変

美世と薫子が関係を築き直すことになってから数日。

美世は今だ毎日、清霞と共に屯所に通う生活が続いていました。

”薫子さん、笑っていないわ。”

すっかり慣れた雑用をこなしながら、美世は薫子をちらりと見やります。

わだかまりは解けたはず。

なのに薫子はふとした瞬間に沈んだ表情をするのです。

美世も甘水のことが気がかりな上、隊員たちからの冷たい視線は継続中と悩みはたくさんあります。

しかし、それ以上に薫子は切羽詰まっているような様子

そんな薫子を美世は心から心配していました。

そしてその日…事件は起こったのです…。

掃除が終わり、給湯室でお茶の準備をしている美世と薫子。

「お茶菓子はどうしましょうか?…薫子さん?」

薫子は美世の声に反応しません。

常々、仕事に真摯に取り組む薫子。

いつだって美世の護衛に気を抜くことなどありませんでした。

しかし、今…薫子は完全に意識が逸れていたのです。

美世が話しかけても気が付かなかったのですから。

美世はますます心配になりました。

「あの、体調が良くないのでは?」

美世はそう聞きます。

「ち、違うの。元気だよ。」

薫子は慌てて答えます。

何か悩みがあるのだと思うのに、しかし美世はそれを尋ねることができませんでした。

薫子が自分と清霞との関係に悩んでいるのかもと思えば、踏み込むことはできなかったのです。

「気が緩んだのかな。」

そう言ってぎこちなく笑う薫子に、美世は少し悲しい気持ちになります。

”きっとわたしには言えない悩みなのだわ。友人になった気でいたのはわたしだけかも…。”

そう思いながら、美世は緑茶を淹れると、清霞の執務室に戻るのでした。

執務室に入ると清霞は相変わらず大量の書類を処理しています。

忙しいのだろうと気遣いながら、美世は清霞の机上にそっと湯呑を置きました。

「旦那さま、少し休憩なさいませんか?」

清霞はああ、と答えるも、その手を止めることはなく…。

美世は邪魔をしてはいけないと、清霞の側を離れると執務室内のソファに腰かけました。

その時です‼

清霞が突然立ち上がって、部屋の窓をガラリと開けました。

美世が何事かと顔を上げると、開かれた窓から何か白いものが舞い込んできます。

紙の式です。

式は清霞の手の上に着地しました。

清霞は、そこに書かれた文字をすごい勢いで読むと、目を見開きます。

…それと同時に執務室のドアが叩かれました。

「隊長!百足山です!」

信用

入室を許可された百足山は酷く慌てた様子。

何か緊急事態が起こったことを悟る美世。

清霞らの様子を伺っている美世は、背後でひゅっと息を吞む気配を感じました。

美世がその気配のした方を振り返ると、薫子の震える様子が目に入ります。

その姿はひどく怯えている様に見えました。

”バン!”

清霞が手で机を打ち付ける音が響きます。

「まさか…陛下に手を出すとは!」

その声には怒りが滲んでいました。

”甘水直が動き出した…?”

深刻な面持ちの清霞と百足山を見て、美世は不安で心臓が激しく鳴り出します。

「陛下の行方は調査中です…。」

そう報告する百足山を清霞が遮りました。

「いや、それはその場に居合わせた薄刃が追っている。行き先はじきわかる。」

美世は清霞たちの話から、やはり甘水と異能心教が動き出したことを理解しました。

「薄刃…信用できるのですか?甘水と薄刃が結託している可能性を考えるのは当然のことだと思います。」

百足山は表情を渋くして清霞に問いかけます。

そう話しながら、ちらりと美世を見たような…。

”わたしも出来る限りのことをしたけれど、まだ信用を得るには足りないのだわ。”

清霞は難しい顔をして、何も答えません。

「旦那さま。わたしはここにいます!ですので、陛下を…。」

思わず美世はそう発言していました。

しかし清霞は首を横に振ります。

「でも、陛下を…お助けしなければ…。」

不安は確かに大きい美世。

でも主君の危機に清霞が何もしない訳にはいかないことはちゃんと分かっていました。

すると横から百足山が難色を示します。

「わきまえていただきたい。これは部外者が口を出す問題では…ない。」

厳しい言葉。

でもそれはその通りでした。

「申し訳…ありません。」

美世は身体を強張らせて謝罪します。

出過ぎた真似をしたと、余計な自分の発言を後悔しました。

しばらく考えた後、清霞が口を開きます。

「百足山。お前はここに残れ。屯所の守りを任せる。」

離れたくない

その上司の指示に、百足山は驚いた様子を見せました。

「なぜ!守りが重要なのは理解できます。しかし、自分も異能心教を追っていたのです。同行するのが筋では?」

百足山は声を荒げていきり立っています。

そんな百足山に清霞は冷静に告げました。

「守りが重要だから任せるのだ。文句が?」

清霞はそう言いながら、悔しそうな顔の百足山に何か耳打ちします。

はっとした百足山。

そのまま薫子に視線を向けました。

”薫子さんが…何か?”

確かに先ほどから一言も発せず顔面蒼白な薫子に戸惑いを覚える美世。

”薫子さんの様子を見る役目も負うのかしら?”

ようやく観念したような百足山は了解しました、と告げ、警備の配置の確認をしに執務室を出ていきました。

清霞はサーベルを帯刀すると、冬用のコートを纏います。

「陣之内。お前も屯所の警備に努めてくれ。」

清霞にそう言われると、真っ青な顔のままの薫子でしたが警備のため執務室を出ていきました。

二人きりになると、清霞は美世の方を向きます。

「美世。これから屯所を留守にする。結界はあるが、注意してくれ。そばにいてやれなくて、すまない。」

本当は怖い美世。

でも清霞が安心して出発できるよう、精一杯恐怖を隠して笑いました。

「ここで、無事に待っています。旦那さまもお気をつけて。いってらっしゃいませ。」

すると清霞の腕が伸び、美世の身体を引き寄せます。

清霞は美世をぎゅっと優しく抱き締めました。

「本当は、離れたくないのだ。」

心からの清霞の言葉…美世も清霞の背に腕を回します。

「お前に何かあったら…。私は…。」

そのまま二人は静かに抱き合うのでした。

参上

別れを済ませると、清霞は何名かの隊員を引き連れて、すぐに出撃していきました。

そして屯所には百足山と薫子、他百足山の班員たちが残ります。

百足山たちの案で、安全性を考慮して皆で道場に立てこもることに。

そして数名が門の周辺を警戒することに決定しました。

それから、一同はすぐに行動に移し、万全の態勢で守りに入ります。

敵の襲撃があるかもしれない…多くの隊員が立てこもった道場内はそんな緊迫した空気が流れていました。

美世も身体に力が入ったまま、じっと静止状態のままです。

そんな中、百足山が厳しい口調で美世に忠告します。

「勝手な行動は、くれぐれも謹んでいただくよう。」

百足山が職務に対する強い責任感を持っていることを理解している美世は、すぐに首を縦に振ります。

そして、美世は、清霞にもらったお守りを握りしめて願うのでした。

”大丈夫。きっとすぐ旦那さまは帰ってくる。そうしたらまた元の日常に戻れるわ。皆、無事でありますように。”

しかし、その願いもむなしく、道場に流れていた沈黙が破られてしまいます

「結界が!解かれた!」

百足山の叫びが轟きました。

その場の全員が瞬時に身構えます。

”結界が?厳重な結界なのに?どうして破られてしまったのかしら?”

緊張で手足が強張る美世。

そんな美世の耳に、聞き覚えのある声が流れ込んできます。

「ああ、皆さま、お揃いで。熱烈に歓迎してもらえるとは光栄だな。」

美世の心臓は大きく跳ね上がるのでした。

選択

一方の清霞。

隊員を引き連れ、新に教えられた場所に急行します。

新からの知らせ、そして百足山から聞いた堯人からの連絡。

”確実に帝の身に何かあった…。”

清霞はその確信ゆえに、美世を残してまで隊長として出撃したのでした。

指定された場所には、すでに待機している新がいます。

「状況は?」

清霞は新に現在の状況を確認しました。

「陛下はこの先に。」

新は海の方角を指差します。

「陛下の命を奪うつもりはないようです。あくまで丁重に扱っています。おそらく皇家の別荘に向かっているのでは、と。」

新はそう話します。

清霞もその考えに異論はありませんでした。

しかし、別荘は宮内省の管轄…。

もし制されているのであれば、すでに政府内部にも異能心教の影響が広がっていると考えられるのです。

その可能性を危惧する清霞。

「甘水は?」

次に甘水について尋ねる清霞。

新は連れ出すときには明らかに甘水の異能が働いたけれど、今は姿を見ないと告げます。

”罠のような気が…。帝は囮なのでは?”

清霞はこのまま帝を負うべきなのかと思案します。

堯人からの要請である以上従わなければならないのですが、どうも納得がいきません。

屯所には信頼出来て能力も申し分ない百足山を置いてきてはいるものの、実際に甘水が攻めてきたら相手にもならない。

清霞か新ほどの使い手がいなくてはどうしようもない…それぐらい能力の差があり、残した美世が心配になります。

「少佐。屯所に戻った方が良いのでは?」

新も同じ考えだった様子で清霞に提案します。

「不可能だ。責任者が私である以上、ここを離れることはできない。」

清霞は新の提案を断りました。

「でも少佐もわかっているはず。これは陽動の可能性があることを。本命はおそらく…。」

新の言葉を切るように清霞は唸るような低い声を出しました。

「美世だな。」

新は頷きます。

「そうです。甘水は離反したにも関わらず、誰よりも薄刃に囚われている。だから美世は彼にとって何よりも価値が高い。」

そこまで言うと、新は清霞の方に身体を向けました。

「決断を!少佐!」

その新の瞳からは強い覚悟の光が見えました。

職務に縛られて、美世を守ると宣言できない清霞は自分を情けなく思います。

しかし自分は屯所には戻らない…軍に入ったのは自分の選択だと思う清霞は、そう新に告げようと口を開きました。

新たな命令

その時、すごいスピードの軍用車が1台、清霞たちの前に止まりました。

「清霞!」

すると車からは軍服纏った大男が降りてきます。

大海渡少将です。

「堯人さまからの命だ。久堂少佐、貴官はすぐに屯所に戻るように。他の者は現時点から私の指揮下に入れ。」

清霞にとっては願ってもない命令。

「閣下!」

清霞は思わず声を上げてしまいました。

本来ならば咎められるべき清霞の反応…に大海渡はにやり。

「堯人さまより、謝罪を預かっている。君に陛下を追わせたのは間違い、指示を出すのが遅れて申し訳ないとのこと。」

今回の清霞への命令は天啓によるもの…。

つまり堯人には屯所に清霞が必要になる未来が見えたのです。

…ということはやはり、甘水の狙いは美世だったのでした。

「謹んで、承ります。」

清霞は軽く頭を下げると身を翻します。

「美世のこと、よろしくお願いします。」

背後からかけられた新の言葉。

清霞は頷くと、一目散に婚約者の元に駆け出したのでした。

内通者

清霞不在の屯所では、甘水の登場で一同に緊張が走っていました。

「美世。迎えに、来たよ。」

甘水の声が美世の耳に届きます。

しかしその姿は見えないまま。

百足山と薫子が美世を守るように前に立ちますが、相手がどこにいるか分からないままではどうしようもありません。

「どこにいる!出て来い!」

百足山が叫びます。

すると驚くほど素直に甘水が姿を現しました。

ただの背景だった視界の中にぼんやりと、そして次第にはっきりとした人の姿が現されていきます。

こげ茶の短髪、丸眼鏡、袴にとんびを纏った男がそこにいました。

「予想より警備が厳重だったな。さすがは久堂清霞だ。」

そう言って笑う甘水。

なんと、美世との距離はすでに大股で10歩分に詰められていました。

”一体どうしたら…?”

甘水がこれ以上動けば、皆の命はどうなるか分からないと思う美世。

狙いが自分だとわかっているため、他の隊員を危険にさらすことへの罪悪感が胸に広がります。

「どうやって入ってきたのだ?」

時間を稼ぐためか、百足山が甘水に問いました。

甘水もその思惑には気が付いているはず。

しかし面白そうに目を細めて問いへの答えを伝えました。

「結界を…内部からいじってもらったのさ。」

その答えに驚愕する百足山。

「何を、ふざけたことを言うな。」

美世の身体は震えます。

甘水の話は、この対異特務小隊の中に裏切者がいることが示唆しているからです。

「内通者だと、ありえない…。」

百足山は甘水を睨みつけました。

「ぼくがここにいる以上、手引きをした者がいるのは間違いないだろう。それが現実だよ。」

甘水の言葉に、百足山は悔しそうに黙り込みます。

「誰か…を教えてあげよう。」

甘水の視線がスッと美世の後ろの方に向けられます。

そこにいたのは…薫子でした。

「陣之内薫子さん。協力してくれてどうもありがとう。」

発覚

その場の誰もが動揺し、緊張した空気がざわりと変化します。

美世も思わず「どうして」、と言葉を漏らしていました。

その言葉に反応した薫子が、美世の方へ振り向きます。

その顔は白く、血の気がありません。

「正直に答えるといい。そうしたら少しは同情してもらえるかもしれないよ。」

甘水が薫子に向かってそう話しました。

薫子は無言のまま、唇を噛みしめています。

その時、道場内に百足山の怒号が鳴り響きました。

「陣之内!何とか言ったらどうなのだ?」

薫子は震えながら、言えないと首を横に振ります。

甘水はその様子を面白そうに見つめていました。

「潔く話してしまうほうがいいのではないかな?」

薫子は甘水の言葉を聞くと、歯を食いしばって…それから叫びます。

「ええ。そうだよ!結界に細工をしたのは私!約束通り父は無事なんでしょうね?」

薫子の発言に全員が絶句します。

百足山でさえ、薫子を見つめたまま言葉を失っていました。

「もちろん。無事だ。もともと何もしていないのだから。」

その事実に薫子は驚いて目を見開きます。

「君の実家を人質にとったなど、君を脅すための嘘だよ。騙されてくれて助かった。」

にやりとする甘水。

その会話を聞いて、美世は理解しました。

薫子が人質を取ったと言われ、脅されて無理やり従わせられたことを。

甘水が来ることを知っていたからこそ、様子がずっとおかしかったのだと。

”酷い!”

美世は胸が痛くなります。

「私は…何のために…。」

騙されていた事実に薫子は膝から崩れ落ちました。

”この男はおかしい。母はこんな男が好きだったの?否…そんなこと、あるはずがないわ。”

涙を流す薫子を見て、こんな人間が人の上に立ってはいけないと思う美世。

すると甘水が、そろそろ目的を果たさないと、と動き出しました。

懐から短刀を取り出すと、鞘を抜いてゆっくりと美世側に向かってきます。

百足山、そして他の隊員たちもサーベルを抜きました。

「婚約者殿。時間を稼ぎますので逃げてください。」

百足山は背後の美世に振り返ることなくそう言います。

美世が驚いて躊躇すると、百足山は厳しめに言葉を続けました。

「自分たちの仕事はあなたを奪われないこと。あなたも覚悟を決めなさい。」

自己犠牲

美世は、自分の仕事は1人になっても逃げること、だと理解していました。

でもそれでいいのか、と自問自答するのです。

夢見の力が危険で、それを利用されてはいけないことも分かっている。

けれども美世が逃げれば、甘水は邪魔する者を殺す…。

そんなことを考えていると、甘水が短刀を構えて百足山と対峙していました。

「まずは君から死んでもらおうか。」

にやりとする甘水。

「大人しくやられることはしない。」

百足山はそう言うと、甘水と正面からぶつかり合います。

しかし、決着はあっけなくつきました。

たった一度の打ち合いで、百足山のサーベルは根元から折れてしまったのです。

そのまま甘水は短刀を百足山の首に突き立てようとしました。

凄まじい速度で振り下ろされた短刀をなんとかかわした百足山は、そのまま甘水に回し蹴りを放ちます。

「危ない危ない…。」

甘水は百足山の蹴りをさっとよけました。

そのまま両者は見つめ合います。

百足山の肩からは、先ほど短刀を避けた時に掠めた傷から大量の血が流れていました。

”このままじゃ…。”

この場で一番の強者である百足山も歯が立たず、薫子も脱力したまま動けません。

他の隊員たちも怯えています。

素人の美世でも、このままでは甘水に翻弄されて終わることがわかりました。

そしてそれは自分のせいだということも。

「やめてください!」

美世は衝動的に、両手を広げて甘水の前に立っていました。

背後から百足山が「馬鹿者!」と罵声を浴びせますがその声を美世は無視します。

甘水は口元に笑みを浮かべると、短刀を下ろしました。

「美世。父についてきてくれる気になったのか?」

美世は冷静に甘水の誘いを断ります。

「いいえ。あなたを父とは認めませんし、誰かを平気で傷つけるあなたに協力もしません。」

美世のその拒絶にも楽しそうな様子を見せる甘水。

「ではなぜ前に出てきたのだ?」

内心、不安も恐怖も抱えている美世。

しかし、殺される可能性が1番低いのは自分だとわかっていました。

また部下が傷付き、それを悲しむ清霞の姿も見たくありませんでした。

だから自分が前に出ることを選択したのです。

時間を稼げばいいのか、どうしたらいいのか、策は見つからないまま…美世は慎重に甘水の問いかけに答えました。

「あなたは、わたしを、殺さない、からです。」

甘水は頷きます。

「正しい判断だな。自己犠牲とは。…ただ父はそういうのが大嫌いなのだ。」

機嫌を損ねたら、皆殺し…美世は甘水を拒絶し続けるか、へつらうか、悩みます。

「澄美ちゃんもそうだった。自己犠牲。一族のために斎森のような塵同然の家に嫁いで。愚かだよ。」

甘水は笑い出しました。

”母は愚かじゃない。守りたかっただけだわ。だってわたしも同じだもの。”

その時、美世はあることに気が付きました。

甘水が異能心教なんて組織を作ってやりたがっていることは、”守ること”ということに。

美世は深く息を吸って甘水を見返します。

「わたしはあなたの娘にはなれません。考えに賛同もできません。」

これまで余裕そうな表情を見せていた甘水は、急に苦々しい顔になりました。

君も、ぼくが必要ないと言うのか?君には教育が必要みたいだな。」

髪を搔きむしりながら唸る甘水。

”わたしの父はこの男ではないわ。間違いなく斎森の父だわ。”

甘水の反応で美世はそう確信しました。

そして覚悟を決めて甘水に向かって叫びます。

「わたしを連れ出しても母を救ったことにはなりません。母は、もうどこにもいません!わたしはわたしです!」

澄美を救い出したかった甘水。

澄美を守りたかった甘水。

しかし後悔しても時間はもう戻らず美世は澄美の代わりにはならない…。

そのことを、美世は甘水に告げたのでした。

正体

美世の叫び…しかし甘水が美世を諦めることはありませんでした。

「浅いな!美世。ぼくの目的はそんなことではない。もっと広いのだ。やはり力づくで連れて行くしかないな。」

短刀を再び構えると、姿を背景に溶け込ませ、皆の視界から消えていきます。

その姿は目で見えず、耳でも聞こえない…。

百足山が叫びます。

「全員婚約者殿の周りを固めるのだ!甘水を通すな!」

そして戸惑う美世に、百足山は言います。

「我々の命を惜しむなら、無事に逃げることをお考えください!」

さらに、今だ座り込んでいる薫子を怒鳴りつけました。

「立て!陣之内。立って戦え!」

その言葉に、ハッとして腰のサーベルを握る薫子。

涙を拭って立ち上がりました。

「美世さん。ごめんね。自分の不始末は自分で片をつけるから。」

美世の周りを隊員たちが取り囲みます。

皆、死地に行くような表情でした。

するといきなり薫子の身体が吹き飛んで床に叩きつけられます。

「薫子さん‼」

思わず悲鳴を上げた美世。

そんな美世の腕を甘水は強く掴みました。

「君はぼくと来るのだ。ここにいる人間を傷つけられたくないだろう。」

耳元で囁かれる甘水の言葉にぞっとする美世。

甘水は短刀を美世の首筋に当てると、そのまま美世を引きずるように歩かせます。

美世を人質に取られたその状況に、誰も手出しができません。

”旦那さま。”

この、もうどうしようもない状況の中、美世の脳裏には大切な人の顔がよぎります。

”死ぬのが怖い。離れたくない。”

美世は切なくて苦しくて、涙が溢れました。

”やっとわかった。旦那さまを知りたかった理由が。過去が気になった理由が。この気持ちの正体が。”

「お前が無事でよかった…。」

「私の婚約者から、離れろ。」

誰もが諦めかけたその時、背後から冷え切った声が響きます。

それは一瞬の出来事…いつの間にか甘水の身体は地に伏していて、その背は軍靴に踏みつけられていました。

そして美世は優しく抱き留められたのです。

「旦那、さま。」

そこには美世の一番大切な人、清霞がいました。

「遅くなってすまない。泣いたのか?」

清霞の指先が美世の頬に触れます。

「久堂!清霞!」

その時、踏みつけられていた甘水が、憎々し気に名前を叫び、短刀を清霞の足に向かって振りかざしました。

咄嗟に美世を庇う清霞。

するとその隙に甘水は起き上がって飛び退きます。

その身体能力たるや、見事なものでした。

「堯人皇子の天啓か。今回はぼくの策が安直すぎたようだ。」

清霞がすぐに戻って来た理由を察し、甘水は肩をすくめます。

しかし、それは余裕そうで、想定していたような感じがしました。

「まだ始まったばかりだ。」

そう愉快そうに微笑む甘水。

そして、その瞬間、突然大きな水の塊がいくつも飛んで来ます。

美世は驚いて目を閉じました。

「宝上か…。」

清霞が呟くのと同時に、その水の塊は清霞と隊員たちにあっという間に散らされます。

そして美世が再び目を開けた時には…もう甘水の姿はどこにも…なかったのでした。

美世は身体の力が抜けていくのを感じます。

「どうした?」

清霞が慌ててふらつく美世を支えました。

「ごめんなさい。安心して腰が抜けてしまいました。」

清霞は安堵したように息を吐きます。

「わたしが遅くなったせいだな。怖かっただろう。」

すると美世は清霞のコートの裾を掴みました。

「助けてくださって…ありがとう…ございます。」

清霞は美世を抱き締めます。

「お前が無事でよかった…。」

処遇

「お取込み中…失礼します!」

百足山が声をかけます。

「ただいま甘水と宝上が潜んでいないか確認中です。けが人は救護室に。幸い重傷者はいません!」

自分は肩から血を流しながら報告する百足山。

「申し訳ありません。自分の力不足で婚約者殿を矢面に立たせてしまいまし…!」

百足山が言い切る前に、清霞がその頬を平手打ちしました。

「警護対象を人質に取られるなど論外だ!お前は一体何のために存在している。そして矢面に立たせたとは何だ?」

滅多に見ることのない鬼隊長の清霞の姿…百足山もその怒気と冷気に小さくなります。

しかし百足山は、私情を挟むことなく淡々とこれまでの経緯を洗いざらい報告するのでした。

その報告を受け、清霞は再度百足山の頬を平手打ちします。

「中年男に一撃で剣を折られ、素人、しかも警護対象に庇われる…。お前は軍人か?どうしたらここまでの失態を犯せる?」

百足山は申し訳ありません、と言って頭を下げるしかできません。

「謝罪はいらない。おいおい罰を与えるとして、今は後始末に行け。それぐらいお前にもできるだろう。」

清霞はぴしゃりと言い捨てました。

実際は百足山が踏ん張ったからこそ被害が少なかったのですが…甘水が強すぎたのです。

「旦那さま。百足山班長は…。」

美世は庇う言葉を言いかけて、口をつぐみました。

それは”余計なこと”だと思ったからです。

ですが、その気持ちは清霞に伝わっていました。

「わかっている。百足山が動いたからお前がここにいる。あれは優秀な男だからな。」

罰も与えるけれど、労いもする、と清霞は美世を安心させるように言います。

しかし美世の気がかりはそれだけではありません。

すでに姿の見えない薫子のことがありました。

「あの、薫子さん、は…?」

美世は頭の中で嫌な想像が駆け巡ります。

「裏切り」、それは軍隊において死刑にも匹敵する罪なのでは…と不安に思うのです。

清霞は美世の頭にそっと手を載せ、そして優しくなでました。

「期待は…するな。」

美世は薫子の無事を祈るしかできませんでした…。

失墜

一方、新は大海渡少将と皇家の別荘を訪れていました。

式に追わせた自動車がその方角に向かって行ったからです。

しかし、道中、突然その自動車も式も消えてしまっていました。

”気付かれたのか?”

それでもその先には別荘しかないため、そのまま進んできたのです。

新は嫌な予感がしていました。

それは追うことが予想されていて、式の目を偽り、全く関係のないこの場所までおびき寄せられたというものです。

不安を抱えながらも、新たちがたどり着いた皇家の土地、その門は固く閉ざされていました。

そして門衛も無事。

念のために中を調査するも、誰かが入った形跡も何もない…。

そのことからも人が来た事実がないことは明白でした。

嫌な予感が的中した新。

元よりなかった薄刃の信用、新はそれがさらに落ちていくのを肌で感じました。

「薄刃に騙されたのでは…?」

そんな声が新の耳に入ります。

それから、半日ほどくまなく敷地内を調査したのち、大海渡少将は隊員に撤退を命じました。

結局、新はまんまとを追わされたのです…。

「少将閣下、今日いっぱいで構いません。ここを調査する許可をいただけませんか?」

このまま手ぶらで帰れない新は思わず大海渡少将を呼び止めていました。

頭を下げて懇願する新に、大海渡少将は調査を許可するのでした。

勧誘

1人残った新。

まんまと陥れられた自分の不甲斐なさに苛立っていました。

甘水に翻弄されている現実…今回のことで、薄刃の名はさらに嫌悪の対象となってしまったのです。

”自分の役目は甘水のしっぽを掴むことというのに。何もできていない…。”

そのまま新はひたすら歩き回りました。

しかしどんなに探しても当然ながら手がかりはありません。

気付けば日も傾いていました。

周囲が深い闇に包まれつつあります。

「やはり残っていたか。」

突然、新の背後から声が聞こえます。

驚いて振り向くと、なんとそこには少し疲れた様子の甘水直の姿がありました。

新は咄嗟に甘水へ銃を向けます。

「お前のせいで、また薄刃の名が貶められた。」

しかし甘水は銃を向けられているというのに余裕の表情。

「薄刃に偏見を持っているのは、ぼくじゃない。」

確かに、甘水の言う通りでした。

薄刃の本質を見ることなく、迫害しているのは甘水ではなく他の異能者たち、軍人たちなのです。

”しかしその状況を作り出した理由の一端は甘水にある。”

新は心の底からの殺気を放って甘水を睨みつけました。

「まあ、待て。そうはいっても君も帝都では肩身が狭いだろう?」

そんな殺気は気にも留めないという様子の甘水。

「薄刃新。君、異能心教に入らないか?生きやすくなる方法を教えてあげよう。」

当然、新はその誘いを断りました。

…答えにほんのわずかな時間、迷ったのちに。

第5章の感想:薫子が!秘密って、このことだったの?そして甘水の誘いはフラグ?

薫子の秘密が明らかになった第5章!

なんとも切ない理由で、結界をいじるという大罪を犯してしまった薫子…。

薫子…あれってだれかに相談すればよかったのに。

どうしてこんなことになったのやら、です。

薫子、苦手キャラだったけれど、心配だなあ。

どうなっちゃうんでしょう。

とりあえず、結界に細工した罪は問われるのだろうけど。

第5章はそんな驚きの展開があったお話でした。!

それにしても、美世がかっこよかったですね!

みんなをかばって前に立つ姿に、昔の片燐などどこにもありませんでした。

強く…なったなあ…。

しみじみ、母の気分です…(笑)。

そして、最後にやっぱり守ってくれた清霞さま!

かっこいい!

やっぱりヒーローは間に合うんですね。

美世が捕まらなくて良かったー。

でも、まだ諦めていないですからね、甘水め。

で、で、この第5章で気になったのが、新なんですよ。

最後に甘水に異能心教へと勧誘されてましたけど、何だか、怖いなあ。

新の闇落ちとかありませんかね。

個人的には新には薄刃としての誇りみたいなものは絶対に捨てて欲しくないんですよね。

でも、前巻でも薄刃がなくなる未来が予測できるようなシーンがあったりして、怪しいんです。

フラグ立ってない?

心配ですね。

ほんと、読めば読むほど引き込まれてしまう…。

もはやこの物語は美世のシンデレラストーリーではありません。

甘水の言葉を借りると、「ぼくの目的はそんなことではない。もっと広いのだ。」ですねえ。

はい、ということで、続きが気になりますよね。

もう、読まずにはいられませんから。

次の章に突入させていただきます!

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