わたしの幸せな結婚(小説版)4巻4章のネタバレあらすじに感想も

こちらの記事では、わたしの幸せな結婚4巻第4章のネタバレを紹介しております。

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目次

わたしの幸せな結婚4巻第4章のネタバレを紹介!

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第4章:本当の心の奥は

不安感

「明日の午前、一緒に五道の見舞いに行かないか?」

とある晩、清霞が夕食中に美世にそう問いかけました。

五道の怪我がだいぶんと回復して面会の許可がでたそう。

美世はそれを聞いて嬉しくなります。

心から安堵した表情で良かったと呟きました。

すると清霞は素っ気なく、そうだな、とだけ言います。

なぜか箸の進みも止まり…。

”また、何か気に障ることを言ってしまったかしら?”

美世が不安に思っていると、清霞はハッとなり、そして美世に謝りました。

「すまない。考え事をしていた。私は心の狭い人間だと反省していたんだ。」

美世はその言葉を不思議に思います。

清霞ほど心の広い人物はいないと思っているからです。

「気にしないでくれ。別にお前が妙な意味で”あれ”を気にかけていると思ったわけではないんだ。」

咳払いをしながら言い訳のように言葉を紡ぐ清霞。

らしくない様子の清霞に美世は首を傾げるのでした。

「あの、大丈夫なのですか?わたしが出歩くといけないとか…あるのではないですか?」

”もしかしたらわたしが外出することはとても迷惑になるかもしれない…。”

美世は、清霞にも他の人にも迷惑をかけたくないと強く思います。

同時に、百足山の”余計な行動はするな”という言葉が脳裏によみがえってきました。

”もうわたしの行動はわたしひとりで責任のとれるものではないわ。”

そう思って美世は手をぐっと握りしめます。

するとその手を、大きな広い手のひらが優しく包みました。

それは清霞の手

清霞はいつの間にか美世の隣に座っていて、美世をジッと見つめています。

「怖いか?」

そう聞く清霞。美世は素直にうなずきました。

本音

怖い、と心の内を清霞に伝えた美世。

清霞はそっと美世の肩を引き寄せます。

「はっきり言う。お前の父親は十中八九、甘水ではない!」

清霞は、これまで調べた結果を美世に伝えました。

「お前の母が嫁いだ時期とお前が生まれた時期を照らし合わせれば明白だ。」

「その頃の甘水の行動はまだ薄刃が把握しており、結婚後に密会していた可能性も限りなく低いそうだ。」

おそらくそれは新から聞いた情報だと思う美世。

”きっとわたしが不安に思っていると考えて、旦那さまも新さんも調べてくれたのね。”

清霞は美世に言います。

「お前が不安なのはわかっているつもりだ。その不安を取り除くためなら何でもする。」

清霞の真っ直ぐな言葉は美世の胸に刺さります。

「不安は何でも言ってくれ。私も自分にできることを考えている。今回のことも一緒に乗り越えたい。」

その言葉に動かされるように、美世は正直な気持ちを清霞に打ち明けました。

「わたしが外を歩いて、何かあったらどうしようと考えていました。もしあの人に遭遇したら…。」

そう話すと、少しだけ胸が軽くなる美世。

そんな美世に清霞は微笑みかけます。

「大丈夫だ。甘水も組織を率いる人間である以上、白昼堂々一般人の心証を悪くするような馬鹿な真似はしない。」

「お前を引き入れたいなら、他に狙うべきものも、他の手段でも、いくらでもあるからな。」

美世は一瞬違和感を覚えます。

「他に…手段が?」

その美世の疑問をはぐらかすように清霞が話を遮りました。

「なんでも、ない。とにかく明日は五道の見舞いに行くぞ。」

美世は頭に何か引っかかったような気がしつつも、清霞の言葉に頷くのでした。

心配ご無用

次の朝。

美世と清霞は五道の入院する軍の附属病院へと向かっていました。

清霞の運転する車中。

自動車に揺られながら、美世は初めて清霞と一緒に出掛けた日のことを思い出します。

”あれから本当にたくさんのことが起ったわ。”

いずれ縁談はなくなると考えながら、優しい清霞とできる限り一緒にいたいと思っていたあの時。

自分はあれからどれくらい変われたのだろうかと思いながら、美世は隣で運転する清霞をちらりと盗み見ました。

「どうした?」

その視線に敏感に反応する清霞。

気付かれるとは思っていなかったので、美世は慌てて目を逸らしました。

「旦那さまと初めて出かけた日のことを思い出していました。」

美世はそう言います。

そして、素敵な思い出であるあの日のことを、清霞も同じようにそう思っていてくれたらいいなと思うのでした。

それからしばらく車に揺られていると、軍本部に到着です。

附属病院はその敷地内。

「美世、緊張しているか?」

清霞が問いかけました。

「ふふ。」

美世はついつい笑ってしまいます。

「旦那さまったら、この間も同じことをおっしゃっていたから…。ふふ。」

仕方ないだろう、とふてくされたような清霞の表情。

それはさらに美世の心をほぐしていきました。

「笑いごとではないんだぞ。ここは屯所とは違うのだから覚悟はしていってくれ。」

清霞が心配するのも当然でした。

多くの軍人は異能を持たず、異能者は軍の中で特別扱い。

それゆえ異能者に複雑な心情を抱く者が多いらしいのです。

美世もそのことは前もって聞いていました。

しかも、清霞の婚約者は薄刃の血を引く渦中の犯罪者甘水直の縁者である、と少し詳しい者ならば把握しているということ。

なので、屯所でも集めた不躾な視線が、ここではその比ではないかもしれない…ことは、美世にも容易に想像できます。

「平気です。」

しかし美世ははっきりと言い切りました。

過去の経験からそのような視線には慣れている美世。

それが自分の強みだと、今の美世はそう思うのでした。

お見舞い

自動車を降りると、病院まで二人で歩きます。

確かに不躾な視線を浴びせられましたが、思っていたよりも気にならないものでした。

それは、どちらかと言うと清霞の方が目立っていたからです。

「あれが久堂家の…。」

「頭が上がらない幹部も多いとか…。」

「あの見た目て相当な腕とか…。」

漏れ聞こえる囁きは明らかに清霞に対するもの。

清霞の存在感たるや、美世の出自など些細なことなのでした。

少し歩くと二人は病院に到着します。

そのまま真っ直ぐ五道の病室に向かいました。

病室の前まで来ると、ちょうど男性医師が五道の病室からでてくるところ。

「おや。清霞君。」

ひょろりとしたその医師は清霞に声をかけます。

「久しぶりだな…。」

呆れた表情でそう言う清霞。

医師はひひ、と独特な笑いを浮かべました。

「相変わらずですなあ。年上に対する尊大な態度…!」

おそらく知り合いと思われる清霞とその医師。

「その気持ち悪い笑い方やめろ。奴の容態はどうなんだ?」

清霞がため息交じりに尋ねました。

「笑い方なんてどうでもいいじゃあないか。面会できるぐらいだからね。体力は落ちてるから入院は長引くだろうねえ。」

医師が笑いながら言います。

「年内には復帰できるのか?」

さらに清霞が尋ねます。

「まあ、余裕じゃないですかねえ。」

医師はそう言って去っていきました。

「今の方は?」

美世は清霞と医師がどんな関係なのかが気になって思わず聞いてしまいました。

「ああ、あれは母方の親戚で治癒の異能を持っている者だ。」

そう言うと、清霞は病室のドアを開けます。

病室にはベッドに座っている五道がいました。

「あれ?隊長!」

そう言って手を振る五道を無視して、清霞は先ほどの医師について、美世に説明します。

「治癒の異能は優秀なんだが、性格に難ありだ。しかし根っからの悪人ではない。」

美世はようやく納得しました。

「あれに頼むと法外な特別料金を取られるが、それでもいざとなったら頼む以外に選択肢がないぐらい、腕は確かだ。」

それを聞いて、美世はドキリとします。

”それぐらい五道さんの怪我は酷かったのだわ…。”

「ちょっと!俺の見舞いじゃないんですか?」

完全に無視されていた五道が憤慨して叫びました。

すると奥からくすくすと笑い声がします。

「あはは。愉快だね。五道くんは本当に面白いね。」

衝立の陰には、派手な着物の遊び人風の青年がいたのです。

その男性は辰石家の当主、辰石一志でした。

「五道くんたら、さっきから怒鳴ってばかりだね。せっかく見舞いに来てあげたのに。」

五道をからかう一志。

「来てって誰が頼んだんだよ!」

言い返す五道。

「いやだなあ。僕たち、友だちでしょ。」

止まらない一志。

「誰が友だちだよー!」

再び叫ぶ五道。

病室には一志の笑い声と五道の怒鳴り声が響いて一層賑やかに。

「さて、ぼくはそろそろお暇しようかな。また来るよ。そして久堂さん。ご無沙汰。」

ひとしきり笑った後、立ち上がって帰ろうとする一志は、清霞にも声をかけました。

「ああ、辰石。大海渡少将の口利きでここに?病人をからかう悪趣味も大概にしておけよ。」

小言を言う清霞に手を振ると、一志は病室をあとにしました。

その後姿を呆れた様子で見送る清霞。

すると急に五道が思い切り吹き出しました。

「あはは。あっはっは。隊長が…花束!似合わねー!」

清霞は見舞いの品として、花束と水菓子を腕に抱えていたのです。

殺気立つ清霞。

「元気そうだな。見舞いは必要なかったな。美世、これを生けておけ。」

清霞は怒ったような態度になり、抱えていた花束を美世に渡しました。

「美世、少し出てくる。お前はまだゆっくりしていてくれ。」

”?旦那さま?”

美世は急に部屋を出ていく清霞にいつもと違う何かを感じます。

内心で途方に暮れるも、仕方がないので言われた通り、花を活けて待つことにしました。

五道の父

「美世さん。なんだかすみません。」

申し訳なさそうな五道。

その姿はいつもと変わらず元気そうでしたが、寝間着から覗く包帯やガーゼが想像以上に多くて痛々しい…。

これでもかなり回復したというのだから、元はどれくらい酷かったのかと美世は恐ろしく思いました。

「あの、五道さん。この度は何と言っていいのか…本当に申し訳ありません。」

美世は五道に深々と頭を下げます。

”五道さんの怪我は甘水直のせい…。つまり薄刃の責任…。”

美世は謝らずにいられませんでした。

「気にしないでください。美世さんのせいではありません。悪いのは甘水や異能心教です。」

五道は美世にそう強く主張します。

そして五道は普段通りの明るい笑顔で美世にお礼を言いました。

「見舞いに来てくれてありがとうございます。」

目の前で笑う五道の表情を見て、美世は五道が無事で良かったと心から思うのでした。

それから美世は五道と怪我の話になります。

普通の人間であれば助からないほどの前身の火傷。

異能者の強い身体治癒の異能者のおかげでどうにか助かった五道。

壮絶な怪我だったようでした。

「復帰したら、一網打尽にしてやります。」

そんな五道の決意を聞いた後、美世は急になかなか戻って来ない清霞のことが気になり出しました。

それを察した五道はぽつりとこぼします。

「さすがの隊長も、入院したばかりの時は俺を見て絶句してたし、責任を感じてたりするのかな。」

それを聞いて、美世は胸が痛くなります。

「隊長は上司として責任を感じているだけでなくて、昔を思い出したんだと…。」

五道は珍しく真剣な顔で美世にある話を始めました。

自責の念

それは五道の父親の話でした。

「対異特務小隊の隊長を、俺の父親がやっていたことがあるんです。」

驚く美世。

「尊敬できる異能者だったし、強かった。部下にも慕われていて。俺は…反発ばかりで留学してたんですけど。」

美世は五道の言葉から、もう五道の父がこの世にいない可能性を悟りました。

「親父は当時学生だった隊長を軍に誘っていたんです。でも隊長は軍属になる気はないと帝大に進学したんですけど。」

五道は美世の方を見ず、窓の外を見ていました。

だから美世は、五道が話しながらどんな顔をしていたのかはわかりません。

「親父はある日、任務中に殉職しました…。敵が強かった。でも隊長が小隊にいてくれれば余裕で勝てる相手でした。」

美世は当時の清霞の心中を思い…胸を押さえます。

「もちろん隊長のせいではないのに、俺は隊長を責めた。そのせいで隊長は自責の念から結果的に小隊に入ったんです。」

五道はそこまで話すと、寂しそうな微笑みを浮かべて美世の方を向きました。

「隊長は、親父が死んだ、あの時のことを思い出してしまったんだろうなと思います。」

美世は何も言えませんでした。

どの言葉を選んでも間違っている気がして。

清霞の過去はなんでも知りたかったけど、でもこのことは知ってはいけなかったのかもしれない、と思います。

”五道さんはなぜこのことをわたしに…?”

そんな美世の心の声が聞こえたかのように、五道が言います。

「隊長のこと、知りたいのかなと思って。どうせ口下手な隊長のことだから、美世さんにはろくに話してないんでしょう?」

五道の指摘があまりにも的確で美世は目を丸くします。

”確かに知りたかった。”

でも清霞が語らないのにこちらが知りたいと思ってしまうのは良くないのでは、と思って聞けなかった美世。

自分にだって進んで口に出したくない過去はいくらでもあるのに…と思っていたのです。

美世は五道に尋ねました。

「わたしが直接旦那さまに聞いてもよいのでしょうか?旦那さまの過去を。」

五道は珍しく静かに微笑んで答えました。

「多分隊長は直接美世さんから聞かれた方が嬉しいんじゃないかな。何でも打ち明けたいと思っているはずですよ。」

それを聞いても美世は自信がなさそうにしています。

「そうでしょう…か…。」

すると五道。

「隊長がどう思うかは、もう美世さんだって想像がつくんじゃないですか?自分の選択を信じて。」

五道の言葉にハッとする美世。

確かに過ごした時間は短いけれど、自分は自分なりに婚約者のことを理解していることに気が付いたのです。

「ありがとうございます!五道さん。そうですね、そうしてみます!」

五道は美世の話を聞くと安心した様子を見せました。

そして、愛想を尽かしたら、自分のところに来るように、と冗談を言いました。

美世は笑って頷きます。

五道は美世の答えに笑って喜びました。

ちょうどそこに清霞が戻ってきます。

清霞は、バッと身体を硬直させる五道をちらりと見やると、美世にそろそろ帰るぞと呼びかけました。

五道のとりあえずは元気そうな姿も確認できて、安心した美世。

五道に挨拶をすると、清霞とともに、病室を出るのでした。

原因

二人が去っていくのを見届けると、五道はベッドに身体を倒しました。

「体力が落ちているな…。」

五道は自分の身体が疲れていることを痛感します。

治癒の異能による治療は治りが早く後遺症も残らない代わりに、かなりの体力を消耗するのです。

なので、怪我が治ってもしばらく体力回復のための入院が必要でした。

まさに五道は今その状態。

しかし早く復帰したい五道は、この、身体がままならない状況を歯がゆく思うのでした。

それから目を閉じてしばらく悶々としていると、再び来客があります。

病室の戸を開けて入ってきたのは見覚えのある軍服姿の女性

「お久しぶりです。怪我の具合はいかがですか?」

五道は何年かぶりに会うその女性に驚きました。

「お前?陣之内薫子?」

薫子は「ご名答!」とおどけて指を鳴らします。

自分が抜けた穴を埋めるために帝都に来ている、とは聞いていましたが、1人でお見舞いに来るとは思わなかった五道。

「怪我はだいぶいいよ。それにしてもお前、今勤務中じゃないのか?」

五道がそう尋ねると、薫子は心配ないと答えます。

「今、美世さんの護衛を任されているのですが、今日は久堂さんが一緒にいるそうなので。私も半休とりました。」

五道はなるほどと頷きます。

薫子は腕が立つ上、女性同士一緒に行動できる範囲は広いしで、美世の護衛に最適だからです。

「さっきまで、久堂さんと美世さんがお見舞いに来られていたのですよね。」

薫子はぽつりとそうこぼしました。

「隊長は冷たかったけどな。それよりお前、仕事は上手くやれてるのか?」

五道の問いかけに薫子はそれなりですと答えます。

薫子がそう話すのを聞いて、五道はある記憶が戻ってきました。

”そういえば…陣之内って。”

五道はその記憶から、今日の美世がいつもと違う様子だった理由にたどり着きました。

今日の美世は特にどこか迷いの色があったと感じていた五道。

清霞の過去を知りたいと願った美世の思い。

それは薫子の存在から発生したのだと五道は確信しました。

世話焼き

「陣之内!」

五道が声をかけます。

「なんですか?」

薫子が五道の顔を見つめました。

「お前、まだ隊長に懸想してるのか?」

それを聞いた薫子の瞳が目いっぱいに開かれます。

「何の…ことですか?」

五道は再度問います。

「惚けるなよ。昔から隊長のこと好きだったろ?」

薫子は目を逸らしうつむきながら別に…と答えました。

特に鋭い方でもないけれど、五道は一緒に働いている時、薫子が清霞に想いを寄せていたことに気が付いていました。

しかし清霞にとって薫子はただの職場の人間で、大勢いる婚約者候補の1人にに過ぎず…。

「俺は責めたいわけじゃないんだ。誰が誰を好きでも自由だから。でも。」

五道はそこで言葉を切りました。

これ以上言ったら薫子を泣かしてしまうかもしれないと思ったのです。

でも五道はやはりそれでも言葉を続けました。

「あの二人の仲を引っ掻き回すのだけはやめろ。」

薫子は息を吞んで、パッと顔を上げました。

その態度から、すでに何か余計なことをしたのだと五道は理解します。

清霞にとっての美世は、やっと手に入れられた”安らぎ”だと思う五道。

互いに互いを癒す存在で、そこに別の誰かが入ることはできないと思うのです。

想いが報われなかった薫子には申し訳ないけれど、むやみに二人の心を乱すのは許せませんでした。

「…五道さんに…何がわかるのですか。」

絞り出すような薫子の声…。

それでも五道は揺るぎません。

「あの二人に何かするつもりなら、それは間違いだ。少なくともその行為が誰のためにもならないことぐらいわかってる。」

そこで薫子は耐え切れなくなったのか、失礼しますと叫んで病室を飛び出していきました。

薫子の背を見送りながら口を出しすぎたかなとすこしだけ後悔する五道。

”俺はいつからこんなに世話焼きになったんだ?それでも、あの二人の間に波風を立てられなければ、それでいい。”

五道はそう思いながら疲弊した身体を横たえて浅い眠りにつくのでした。

知りたい

病院を出た美世と清霞。

「少し歩かないか。」

清霞が美世をそう誘いました。

いつもと違う清霞の様子…美世は頷きます。

そこで二人は軍の敷地から出て表通りを歩き始めました。

「美世。すまない。寒いか?」

心配そうに聞く清霞。

外気は寒いけれど震えるほどではなく、美世はいいえと答えました。

清霞は美世の歩調に合わせてゆっくりと歩きます。

それからしばらく歩くと公園に着きました。

「一休み、していくか。」

そこで二人は長椅子に並んで座ります。

拳3つほどの距離を空けて。

清霞はいつにもまして口数が少なく、美世は声をかけてみました。

「旦那さま、心配事があるのですか?」

本当は五道から聞いた、五道の父親の話を聞こうと思っていた美世。

でもいきなりその話題を切り出す勇気がなくて、そのような問いかけになってしまいました。

「五道から何か聞いたのか?」

清霞がそう問い返します。

美世は少し聞いたと言い、そして思い切って、尋ねました。

「わたしが、旦那さまのことを、旦那さまの過去を知りたがったらお嫌ですか?」

真っ直ぐに清霞を見つめる美世。

清霞は息を吞みました。

「わたし、旦那さまのことを知りたいのです。全部でなくて構いません。でもわたしだって旦那さまを知りたいのです。」

清霞のことを一部しか知らない…そのことを薫子に出会ってから思い知った美世。

婚約者であるのに、周囲の他の誰よりも清霞のことを知らないと思う美世。

”だから知りたい。知ったところで何もできなくても。”

しんとした空気の中、美世の手に温かな清霞の手がそっと重なりました。

清霞の美しい瞳が美世の方を向きます。

「私のすべてにお前に知られて嫌なものなど、何もない。」

いつも気遣ってくれる優しい清霞とこの先も支え合っていきたいと思う美世。

だからこそもっと深く清霞を理解したいと思うのです。

「ただ、私のことなど、知っても別に楽しくもないぞ。」

「楽しくなくても大丈夫です!」

そのやり取りに、清霞は声を上げて笑い出しました。

初めて見る清霞のそんな笑い方に、美世はどうして笑うのかと少し不満げに聞きます。

「すまない。私はおかしな勘違いばかりしていたらしいな。」

清霞は笑いを収めて、自分が何故いつもと違う様子であったのかを美世に説明しました。

今回の一件で動揺する自分を美世に見せたくなかったこと。

美世に呆れられて愛想を尽かされるのではと不安だったこと。

それを聞いて美世は驚きます。

”そんなこと、あるはずがない!”

「わたし、旦那さまが離れたいとおっしゃっても絶対に追いかけると決めていますから。」

その正直な言葉は、美世の口から驚くほどすんなりと紡がれました。

「安心しろ。私もお前の手を放すことはない。」

それから二人はお互いを見つめ合うのでした。

今も昔も

しばらく見つめ合ったのち、美世はハッと我に返ります。

これを確かめなければ…と思うことがあったからです。

これを聞かずには終われない…そう思う美世は思い切りました。

「旦那さま。旦那さまと薫子さんは恋仲だったのですか?」

清霞の笑みが一瞬で凍り付きます。

「婚約のお話があったとか。薫子さんはとても良い方で美人ですし。旦那さまもまんざらでもなさそう…というか。」

清霞の目がどんどんおそろしくなってきて、美世の口調はし尻すぼみになります。

「まんざらでも、なさそう…か。私のせいだな。すまない。」

怒らせてしまったと思った美世は、急に謝られて驚いてしまいました。

「陣之内とは今も昔も何もない。」

美世は安心する一方で不思議に思います。

”あれだけ仲が良いのに?嫌う要素も何もないし。”

美世には縁談が破談になる理由が少しもわかりませんでした。

しかし清霞は薫子を選ばなかったのは事実。

「不安にさせて悪かった。最初に説明すれば良かったな。最近お前が何か言いたそうにしていたのはこのことか?」

美世は頷きます。

「これも考えすぎだったか…。さあ、帰るか。」

なんとなく納得した様子の清霞。

そして二人は立ち上がって、車を停めた場所へと再び歩き出しました。

「美世、これからは知りたいことを何でも聞いてほしい。できる限り正直に答える。」

戻りながら、清霞は呟きました。

美世はそう言われたことが嬉しくて、足取りが軽くなるのでした。

吐露

一方、薫子は逃げるように病院を出ると、屯所に戻ってきていました。

まだ出勤までには時間がある…のでだれもいない食堂に立ち寄った薫子。

「お前、まだ隊長に懸想してるのか?」

胸に刺さった五道の言葉が、何度も頭の中で繰り返されていました。

薫子は自分の想いが叶わないことは最初からわかっていたのです。

ほのかな恋心を抱いていた清霞から縁談を断られ、失恋した10代の頃。

泣いて泣いて落ち込んで…諦めたはずでした。

清霞が誰からの縁談も全て断っていたこと、同僚として自分は側にいられることを支えにして立ち直ったはず…。

でも美世に会ったら、彼に想われる女性を目にしたら、黙って見ていることなどできなかったのです。

なので…美世に嫉妬して、そして自分の方が彼を理解しているとばかりに振る舞ってしまいました。

”私は醜いわ…。”

美世と一緒に過ごすうち、勝てない…そう思い知らされた薫子。

美世のような女性らしさ、淑やかさ、穏やかさ、純粋さ、そして優しさ。

どれも自分は持っていない、似ているどころかむしろ真逆の女性だと敗北感に打ちのめされたのです。

”私がもっと女らしかったら…。”

薫子はそんなことさえ考えていました。

薫子の目から、涙がポロリとこぼれ落ちます。

「陣之内。」

すると食堂の主である料理人の藪長(やぶなが)が薫子の目の前に立っていました。

「どうしたんですか?」

慌てて薫子が尋ねます。

藪長は持っていた真っ白なハンカチを薫子に差し出します。

「こんなとこで泣かれちゃ迷惑だ。」

忙しい中、わざわざハンカチを持ってきてくれた藪長。

言葉とは裏腹な藪長の優しさに、薫子は余計に涙があふれてしまいました。

「ありがとうございます。」

薫子がはハンカチを受け取って涙を拭います。

それを見た藪長は無言で食堂の入り口の方に目を向けました。

薫子がその方へ視線をずらすと…そこには美世の姿があったのでした。

勘違い

「早かったですね。」

薫子は美世を食堂内に案内すると、隣に座ってそう話しかけました。

「寄り道をしたけれど…早かったですか?」

美世のその言葉に、二人で仲睦まじく道草を食ってきたのかと想像して心が痛くなる薫子。

「あの、薫子さん。ごめんなさい。」

突然美世は謝罪の言葉を口にしました。

まさか謝罪されるとは思っていなかった薫子は、美世が何を謝っているのかが少しも理解できません。

”むしろ謝るのは私。”

そう思ったら薫子はだんだんと腹が立ってきました。

気が付くと、どうして謝るのかと自分でも驚くほどの低い声で尋ねていました。

「わたし。勘違いをしていて。薫子さんと旦那さまは…特別な親しい仲だったのかと…。たぶん、嫉妬していました。」

薫子は無意識に拳を握りしめて美世の話を聞いていました。

そして、美世が”勘違い”と言った、その言葉に感情を沸騰させたのです。

「…どうして…どうして!」

声を張り上げて立ち上がると、美世は驚きの表情を見せました。

その綺麗な顔にますます薫子は腹を立てます。

もう感情の暴走を止めることはできませんでした。

「勘違いじゃない。勘違いなんて言葉で片付けないで!特別な仲なんかじゃないけど私は好きだった!ずっと!」

薫子は止まることなく溜め込んできた気持ちを美世にぶつけます。

「あなたが嫉妬したのは私がそうしたから。私の方が久堂さんを知ってるってわざと誇示したからよ!」

薫子はこれまで、嫉妬心からことあるごとに過去を持ち出して美世に差を見せつけようとしてきたのです。

「それなのに、どうして!あなたが謝るの?私の方が悪いのに!」

行き場のない怒りと悲しみ。

美世が悪いわけではないと分かっているのに、薫子はどうしようもありませんでした。

やり直し

「美世さん、ごめんなさい…。」

薫子は勝手な言い分を言うだけ言って、俯いて、そして最後には自然と謝罪の言葉が出ていました。

「薫子さん。」

すると黙って薫子の叫びを聞いていた美世が口を開きました。

「わたし、今の薫子さんの気持ち、わかります。わたし、初めて会った時から薫子さんが羨ましかった。」

美世はゆっくりと話します。

「わたしは薫子さんみたいに旦那さまと並び立ちたかった。わたしは異能も上手く使えない。だから羨ましかった…。」

そして美世は、少し荒れて傷付いた、普通の令嬢とは程遠いその手をサッと薫子の前に差し出したのです。

「もう一度、お友だちになってくれませんか?」

何も答えられない薫子に、美世は話し続けました。

「わたしたち、互いに互いの持たないものを持っているから妬ましくてもどかしいのだと思います。」

美世のその声は、薫子の胸にスッと染み込みます。

”ああ、私の入る隙なんて、最初から少しもないのだわ。かないっこない。”

美世は手を差し出したまま。

「わたしたちはもう十分にお互いが見えています。だから今までよりもっと仲良くなれると思いませんか?」

薫子は美世の手を取ってもいいのか…と答えを出せません。

それは、薫子はある隠し事抱えているから。

重大で罪深い隠し事です。

”この罪は暴かれたらただでは済まない。罪人の友にしてしまうかも。”

だからダメだと思う薫子。

しかし、美世が差し出したその手の誘惑には敵いませんでした…。

薫子は自然と美世の手をそっと握っていたのです。

「また、友だちに、なりたい。」

それは薫子の心からの言葉でした。

美世は穏やかに微笑みます。

「はい、薫子さん、よろしくお願いします。」

美世と分かり合えた喜びと、そして強い罪悪感…薫子は泣きそうな顔のまま、美世に笑い返すのでした。

第4章の感想:清霞の過去。そしていろいろと五道さん、グッジョブ!

しんみりとしたお話が盛り込まれた第4章。

少しずつ見えてきた清霞の過去。

そして強さ。

恋愛小説だけに終わらないこの展開に、今回もドキリとさせられてしまいました。

清霞さま…。

いろいろな思いを抱えているのですね。

五道の父との過去…なぜか私の心にドンとした衝撃がのしかかりました。

辛い過去。

そんなことがあったなんて。

五道との関係も今と違っていたんでしょうね。

どうやったら今の良い関係になれたのでしょう…男同士の何かがあるのでしょうかね。

そして女同士でも一波乱。

一波乱と言うか大波乱?

食堂で大声で…って誰かに聞かれてるんじゃ?と心配になりましたけど。

結果的には分かり合えたようで、良かったです。

なんか薫子には隠し事があるみたいですけどね…けっこうな大問題の予感。

第4章はそんな深いお話でした。

それにしても薫子ったら。

やっぱり清霞さまのこと好きなんじゃないかい!

それを察した五道さんの釘さし技術、最高でした。

いろいろ気が付く男。

明るさだけじゃない(って、忘れてましたけど、かなり腕のたつ異能者でしたね!)!

今回のことで、五道さんの株が爆上がりしております(インマイハート♡)!

普段は明るくておバカっぽいってとこがまたいい…そのGAPにメロメロです。

話はずれましたけど、またしても甘水は出て来ず…。

なので、次の章あたり、出現しそうですね。

いやー、気になる気になる。

第5章も、お楽しみにお待ちくださーい!

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