わたしの幸せな結婚(小説版)3巻第6章のネタバレあらすじに感想も

こちらの記事では、わたしの幸せな結婚3巻第6章のネタバレを紹介しております。

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目次

わたしの幸せな結婚3巻第6章のネタバレを紹介!

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第6章:春になったら

無事に

美世は玄関で清霞の帰りを待っていました。

それはもう心配で倒れそうなぐらい。

そんな美世を新が笑います。

「心配せずとも少佐は大丈夫ですよ。」

しかし美世の不安はなくなりません。

後に出た正清はすでに帰宅していました。

黒いマントの人々を引きずってきた上、先に捕まえていた捕虜が地下にいると知らされ屋敷中が大騒ぎ…。

美世は清霞が異能者を相手にしていると知って、ますます不安を募らせてしまったのです。

「異能者相手なら大丈夫。それより、美世、あなたの方が危なかったのですからね!」

新は苦言を呈します。

美世は新の助けを借り、異能を使って無事に男性を目覚めさせることが出来ていました。

異能の使用により一時的に体調不良に陥った美世でしたが、もうすっかりと元通りです。

しかし、このことは清霞にもちゃんと報告しなければならない…そう美世は覚悟していました。

「お疲れさま。」

捕まえた者たちを地下に閉じ込めてきた正清が美世に声をかけます。

そして美世の隣の新に気が付くと、新に話しかけるのでした。

「君が鶴木貿易の御曹司…薄刃の後継の薄刃新くんだね?」

新は正清に軽く会釈をします。

「はじめまして。薄刃新と申します。」

そう堂々と薄刃を名乗った新に、正清は少し驚いた様子を見せました。

「もう名乗っていいのかい?」

新は頷いて、堯人さまのご意向で…と答えます。

新と正清がそんな会話を交わしていたその時…美世が「あ」と声を漏らしました。

遠くに見えるのは…清霞。

なにか大きなものを引きずりながら、別邸の玄関に続く道を大股で歩いているのが見えます。

その”大きなもの”が一瞬気になったものの、美世は清霞の無事が嬉しくて、駆け出していました。

抱擁

「旦那さま!」

そう叫んで走る美世。

美世の声に気が付いた清霞も、顔を上げて美世の名前を呼びかけました。

「美世!」

美世は清霞に駆け寄ると、そのに飛び込みます!

「おかえりなさい!良かった…ご無事で!」

そんな美世の身体を力強い腕が包み込みました。

「ただいま。美世。心配かけてすまない。」

温かな清霞の胸の中で、急に恐怖が湧きあがり、そして安心したのか、を流す美世。

本当はずっと怖かったのです。

異能を使うのも、清霞が戦うのも…。

美世は張り詰めた糸が切れたようでした。

美世が抱えた恐怖と安堵…それをわかったのか、清霞は優しく受け止めます。

ポンポンと背中を叩きながら美世を慰めるのでした。

しかし次の瞬間…清霞は低い声で唸ります。

「…で、なぜいるのだ?薄刃新。」

笑みを浮かべた新が清霞の前にやって来ました。

「あなたのせいですよ。堯人さまに遣わされたのです。」

堯人の命とあらば仕方ないという顔の清霞。

新の答えに納得します。

「それにしてもそれはなんですか?大きな獲物ですね。」

清霞の無事の嬉しさから周りが見えていなかった美世…。

新がそう清霞に聞いたことで、ようやく我に返りました。

そして視線を下に移すと…。

「‼え?な?あの…人?」

清霞がひきずってきたものを見て、驚き飛び退く美世。

「獲物とは…まあ確かに私の任務だからな。」

清霞はそう言うと、持っていたその大きなものを放り投げます。

角が生えていたようなでっぱりがあり、牙らしきものが口元からのぞくその大男…。

「これは鬼が憑依しているようですね。」

新が男を見てそう言います。

「今は魔封じで封じている。ところで、あの村人はどうなったのだ?」

清霞に聞かれ、美世と新は顔を見合わせました。

そして観念して白状するのでした。

「あの…わたしが…異能で…目覚めさせました…。」

美世の話に清霞の眼が鋭くなります…。

美世はその反応に恐怖を感じながら言葉を続けました。

「あの、意識を取り戻さなければ…死んでしまうとのことでしたので…。」

清霞は美世に問います。

「だから、異能を使ったのか?」

美世はなんとか頷きました。

するとその瞬間、美世の身体は清霞に強く抱き締められていました。

「美世。すまない…。私があの場を任せたばかりに。頼むから、もう危ないことはしないでくれ!」

清霞の声は弱々しく…美世は胸が苦しくなりました。

”こんなにも心配させてしまった…。”

「ごめんなさ…い。」

心から謝る美世。

「いいんだ。ありがとう。よくやってくれたな。」

「あのー。寒いんだけど…。」

そこに割って入る正清の声が聞こえてきました。

その声に、清霞が渋々腕の力を緩めて美世を放します。

美世は恥ずかしくて真っ赤。

外気は寒いのに全身は熱くなってしまいました。

抱き合っていた二人の姿を、にやにやしながら正清と新が冷やかします。

それに苛立つ清霞。

そんな4人は別邸の中に戻るのでした。

知られていない異能者

その日の夜。

別邸のバルコニーで、清霞と新がお酒を飲みながら話をしていました。

普段は犬猿の仲…しかし今日は疲労感と酔いとで穏やかな雰囲気に包まれています。

清霞は事件の全容を新に伝えました。

異能心教の行動から起こった今回の事件。

彼らはこの地域一帯を実験場とし、人に異形を憑依させ、異能に目覚めさせる実験を行っていたということ。

そして、わざわざこの地を選んだのは、清霞にその存在を知らしめるためだった…かもしれないということ。

明日には帝都から調査員も来るので、さらに詳しいことがわかるはずだと清霞は考えていました。

新が言うには帝都でも異能心教狩りが始まっているそう。

しかし、今回のことで、異能心教の存在が帝都を揺るがす脅威となることは間違いありませんでした。

生まれに関わらず、異能が持てるという彼らの主張は多くの人々の目に魅力的に映るに違いないからです。

「五道さんと打合せましたが、対異特務小隊には異能心教への対抗手段としての期待がかなり寄せられていましたよ。」

新の話に、早めに帝都に戻らねばと思う清霞。

一応明日に戻る予定にはしていました。

そしてそれはもう美世にも正清にも伝え済みでした。

ふと思い出して、清霞は新にあるものを投げ渡します。

それを受け取ると、新は眉をひそめました。

「これは何です?」

その問いに、清霞は”先代(正清)が押収した証拠品”と答えます。

それは鬼の血の入った小瓶でした。

新の表情も苦々しいものに変わります。

「おそらく異能心教の祖師は異能者だろう。こんなに深く異能を理解しているのだから。」

新は清霞にその者の心当たりがないか尋ねました。

「ないな。…甘水直…。」

異能者たちはある程度国に管理されているため、名前も聞いたことのない異能者などいないはず。

偽名なのかもしれないと思いながら、清霞はマントの男から聞いた名前を何気なく口に出していました。

しかしその名前を聞いた目の前の新は、グッと息を吞んだのです。

その様子はおかしく、隣に視線を移して、眉間にしわを寄せています。

「どうした?」

不思議に思った清霞。

新の顔色は真っ青です。

口元を押さえた手は微かに震え、呆然として瞬きひとつしません。

「本当に?」

新が口を開きます。

「?」

新の言葉が理解できない清霞。

新は言葉を続けました。

「ほ、本当にそう言ったんですか?う、す、い、なおし、と。」

清霞は頷きます。

聞き直した新は心を落ち着けるように大きく息を吐きました。

新がその名を知っていることはもう明白です。

しかし、珍しく動揺している新に、清霞はその名が誰を指すのか問い詰めることはできませんでした。

「そういうことでしたか…。だから堯人さまは俺を遣わしたのですね。」

理解したかのように新は呟きます。

そんな不穏な空気が漂うバルコニーに、そっと様子を伺いながら美世が姿を現しました。

「ちょうど良かった…。」

新は美世の姿を見つけると、そう口にします。

そして、手招きして美世を呼ぶと、例の”甘水直”について、話を始めるのでした。

甘水直

「お話中、お邪魔してごめんなさい。」

美世はそう言いながら遠慮がちにバルコニーに出てきました。

「これは美世にも関わる話なので、聞いてほしいのです。」

真剣な表情の新。

その顔色は青ざめたままでした。

「美世、今回の件について、どれくらい知っていますか?」

新にそう聞かれて、美世は知らされたことだけを新に伝えました。

異能心教が絡んでいるということなど断片的なことだけ知っていると話す美世。

新はそれを確認すると、今度は清霞に向かって話し始めます。

「少佐の話が本当でしたら、異能心教の関わる全ての罪は…薄刃家にあります。」

衝撃的な言葉に、清霞はどういうことかと説明を求めました。

すると新はさらに驚きの発言をしたのです。

「甘水直…。甘水家は薄刃家の分家のひとつです。」

それを聞いて納得する清霞。

つい最近までは謎に包まれていた薄刃家…その分家であれば清霞が知らなくても当然だからです。

「甘水家自体は脅威ではありません。しかし甘水直…彼が問題なのです。」

言葉を続ける新。

「予想通り、彼は異能者です。数少ない薄刃の異能を持つ者です。」

そこまで話して新は美世に微笑みかけます。

「そして美世の母親、薄刃澄美の婚約者候補だった男です。」

それを聞いて、美世も清霞もさらなる衝撃を受けました。

二人の脳裏に薄刃家の事情がよみがえります。

澄美はもともと一族内の異能者と結婚する予定だったはず…。

おそらくその相手が甘水直だったのでしょう。

それを帝の陰謀により、急に斎森家に嫁ぐことになったのです。

「甘水直は美世の母親に婚約者候補以上の感情を抱いていたと聞いています。」

「そして薄刃澄美が斎森に嫁がされたあと、離反し、行方をくらましたのです。」

一族の厳しい掟があるにも関わらず、追跡しても発見できないまま逃げ切れた甘水直。

それはその時の薄刃の力が弱まっていた以上に彼がかなり優秀だったことが理由です。

新は、そんな話をしながら強い諦めの気持ちに覆われていました。

それはそのはず。

これから変わろうとしていた薄刃家。

なのに、一族から国家転覆を狙う者が出たとあれば、間違いなく一族は存続できなくなるのですから。

「甘水直は薄刃家を憎んでいるのか?」

清霞の問いに、投げやりに答える新。

「わかりませんよ。そんなこと。何か思うことがあるんでしょうけど。」

落ち込む新にかける言葉も思いつかない清霞…。

そして、新の話から、敵は人心に作用する最強の薄刃の異能を持ち、しかも優れた資質の持ち主。

清霞にとってもこれ以上にない脅威なのです。

「新さん…。」

美世が心配そうに新の名前を呼びました。

「すみません。みっともないところを見せました。俺は先に部屋に戻りますね。」

そう言い残してバルコニーを後にする新。

その背中はいつもより、ずっと小さく見えるのでした。

口づけ

新が去った後、美世はどうしたらよいか分からず夜空を見上げます。

同じ薄刃の者として、何か新に言葉をかけたいと思うも、美世は何も言えませんでした。

清霞はそんな美世の心中を察したのかそっと美世の横に座ります。

「難儀だな…。」

次から次へと溢れてくる問題に、美世には成す術も立場もありません…。

自分を家族として扱って、大切にしてくれる薄刃家の祖父、そして兄のような新。

彼らのために何かしたいと思うのに、何もできない自分を美世はちっぽけだと思うのです。

「あの男はお前に何かしてほしくて話したわけではないと思う。」

清霞は美世の頭を優しくなでました。

「私なら、お前が無事でいてくれるだけでいい。それが望みなんだ。薄刃は大丈夫だ。私も出来る限りのことをする。」

美世はそう言われても、力になれない自分を歯がゆく思いました。

すると清霞が慎重に口を開きます。

「美世。お前がもどかしい思いをしているのも、それを埋めるために努力しているのもわかっている。」

ハッとする美世。

清霞は話を続けます。

「でも、お前の望むものが一朝一夕で手に入らないのも事実なのだ。」

清霞は美世の胸の中のもどかしさ焦燥に気が付いていました。

そのことを知って、美世は恥ずかしくなります。

「美世。お前にできないことは私が補う。お前に任せるべきところは任せる。そうやってお前と生きたいのだ。」

美世を真っ直ぐに見つめる清霞の瞳の奥には熱がこもっていました。

「助け合い、補い合い、夫婦で肩を並べてやっていけるのではないか?」

清霞はそう美世に伝えます。

一見慰めのようにも思える言葉…。

しかし、美世には清霞の言葉を慰めだとは思いませんでした。

”夫婦で…肩を並べて?わたし、まだどこかで強い異能者や立派な淑女にならなければとおもっていたのだわ…。”

早く追いつかなければと焦って、なんでもひとりでやろうとしていた自分に気が付く美世。

追い付かなくても、足りないところを補い合えばいいなどと、思いつきもしませんでした。

「あ、の。わたし。旦那さまを支えられているでしょうか?」

恐る恐る清霞に尋ねる美世。

すると清霞は優しく微笑みました。

「ああ、お前はとっくに私にはなくてはならない存在なのだ。だから…。」

そう言いながら、清霞の顔はゆっくりと美世の顔に近づいていきました。

美しすぎる婚約者の顔が近づいてきたことに気が付く美世。

あまりの近さにギュッと目を閉じました。

すると美世の唇に、一瞬柔らかく温かいものが触れたのです!

”え!”

呆然としながら目を開くと、頬を微かに桜色に染め、穏やかに微笑む清霞の顔がありました。

「春になったら…私の妻になってくれるか?」

美世はもう何も考えられませんでした。

「は、はい。」

そう一言だけしか答えられません。

まったく働かない思考の中で、美世はぼんやりと思いました。

”旦那さまのこの笑顔は、一生忘れないわ。”

悶々

その次の朝。美世は自室から出るのが億劫でたまりませんでした。

いつも通り、夜明け前、朝早くに目を覚ました美世でしたが、昨日の夜のことを思い出してはずっと悶えていたのです。

”く、唇が…。”

何度も清霞の顔を思い出してはのぼせそうになってしまう美世。

もはや昨日どうやって自室に帰って来たかも覚えていないぐらいでした。

”でも婚約者なら、口づけくらいするわよね?”

そう思いながらも、実際そうなのか美世にはわかりません。

”今日、いったいどういう顔で旦那さまに会えばいいのかしら?”

そんな感じでうだうだと悩み続けていました。

さらに、どうして清霞が口づけをしたのか、その理由まで気になってしまう始末。

”わたしは旦那さまの恋人だったのかしら?いえ、違うわ…。”

そうやって、自分たちは愛を育んだ恋愛的な関係にないと考えた美世。

するとようやく美世の頭も少し冷めてきました。

”旦那さまは結婚するとはこういうことだと教えてくださったのだわ。”

若干の違和感は拭いきれませんでしたが、美世はそう結論づけました。

散々考え抜いた美世。

ようやく布団を出て着替え、部屋を出たのでした。

清霞の気持ち

美世が女中たちと洗濯を終えると、もう朝食の時間です。

食堂に行くと、客人としてこの別邸に宿泊した新の姿がありました。

「おはようございます。」

美世が挨拶をします。

「おはようございます。美世。昨日はおかしな態度をとってしまってすみませんでした。」

少し眉を下げた表情の新。

しかし、今日はもう、いつも通りの新でした。

「美世は自分の心配だけしてくださいね。」

そう話す新。

「甘水直は君の母親に特別な感情を抱いていた可能性があるのです。君に何かしようとするかもしれませんので。」

新の言葉に美世は頷きます。

「はい。気を付けます。」

それを聞いて笑う新の笑顔は、いつも通りとはいえ、何か美世には痛々しく思えました。

「本当は君にはずっと家で大人しくしておいて欲しいですね。きっと少佐もそう思っているでしょう。」

すると背後から声が響きます。

「勝手に気持ちを代弁しないでもらおうか。」

清霞です。

即座に心臓が跳ね上がりそうになる美世。

「おはようございます少佐。でも間違ってないでしょう?」

新が言いました。

「美世は私の妻なのだから、私が守ればよいだけだ。」

そんな清霞の言葉に新はケチを付けます。

「妻って…気が早い。婚姻の日取りはお決まりなのですか?」

バチバチと火花を飛ばし合う清霞と新…。

そんな渦中の美世は動悸が激しく、頭の中が真っ白で、清霞の方を向けませんでした。

美世の困惑に気が付いた清霞は美世に尋ねます。

「どうした?美世?」

清霞は美世を覗き込みました。

すると美世の身体はつま先から頭のてっぺんまで一気に茹で上がって真っ赤になります。

「お、お、おはようございます。だ、旦那さま。」

しどろもどろの美世。

「おはよう。顔が真っ赤だぞ。」

清霞にそう言われて美世はさらに焦ってしまいました。

「そ、そんんなきょと。」

思いっきり噛んでしまいます…。

恥ずかしくて穴があったら入りたい美世。

そんな美世をにやにやしながら新が見つめていました。

「少佐。美世に何をしたんですか?尋常じゃない様子ですが…。」

美世はもう火照った頬を手で隠して自分が落ち着くのを待つ以外ありません。

しかし清霞は終始冷静なままで、昨日のことなど覚えていないといった感じさえします。

”昨日のことは夢だったかしら?”

あまりに普通な清霞の態度に、美世はそう思えてきました。

ところが、食事が終わり、自室に戻ろうとした美世を清霞が呼び止めます。

美世が振り向くとそこには至近距離の清霞。

驚いて飛び上がる美世を清霞が引き寄せました。

そして、耳元で囁きます。

「美世。昨日のことは忘れないで欲しい。あれは…私の気持ちだ。」

大混乱の美世。

恋愛経験などゼロの美世には清霞の言葉の意味などわかりません。

清霞もそれはちゃんとわかっていました。

「今は焦らなくていい。いつか理解してくれればいい。」

そう言うと、清霞は先に食堂を出ていくのでした。

強さ

朝食が済み、部屋に戻った美世は帰る支度をしました。

荷物をまとめて忘れ物がないかを確認します。

”結局お義母さまとは仲良くなれなかったわ…。”

希望が潰えて落ち込む美世。

むしろ清霞と芙由の関係をさらに悪化させる原因となったのではと心苦しく思います。

そんなどんよりとした気持ちの美世はベッドの上の着替えを眺めました。

葉月と一緒に買った薄紫のワンピース

”せっかくだから着たいけど、浮かれているみたいでお義母さまの機嫌を損ねるかも…。”

清霞に見てもらいたくて持参したものの、いまだ着る勇気が出ずに迷っていました。

美世が悩んでいると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきます。

「ナエでございます。少しよろしいでしょうか?」

美世が「はいどうぞ」と返事をすると、静かにナエが入ってきました。

「お手伝いをと思いました…がもう不要なようですね。ですが、お手伝い…は口実ですから…。」

言いにくそうにしているナエ。

美世は何の口実なのか分からず首をかしげていました。

すると部屋の外から高い声が飛び込んできたのです。

「ちょっと。ナエ!それは言うなと言ったでしょう!」

扉の陰から姿を現したのは芙由でした。

「お義母さま?」

驚く美世に、芙由は不機嫌そうな表情で不平を漏らしました。

「その呼び方はおやめなさい!生意気だこと。ちっともあたくしの命令を聞かないのだもの。」

美世はまた芙由の機嫌を損ねたのだと思い、身構えました。

「お戻りになるのね。せいせいだわ。散々な目にあったのだから、もう二度とここには来ないで欲しいくらいよ。」

予想通り、芙由はいつもの憎まれ口です。

「奥様。」

ナエが止めに入ります。

しかし、芙由はそんなナエの言葉もバッサリと切り捨てます。

「そこの娘の肩を持つ裏切者はお黙りなさい!」

それから、芙由の視線がベッドの上のワンピースに向きました。

「あなたの物?安物ではなさそうね。それにしてもあなた、辛気臭い顔ね。不細工よ。清霞さんも趣味が悪いわ。」

美世は目を伏せました。

「も、申し訳ありません。」

つい謝罪の言葉を口にしてしまいます。

何もできない、何も変えられない…そんな自分には、もはや芙由に立ち向かう権利などないと思ったからです。

ひたすら謝るだけの自分が情けなくて、涙が出そうになる美世。

「いい気味ね。でもまた旦那さまに怒られてしまうわ。めそめそしないでちょうだい!」

そう言われて、急いで涙を引っ込めようとする美世でしたが、焦れば焦るほど涙が溢れてきてしまいます。

「申し訳…ありません…。」

”やっぱり自分は変わっていない…。”

”おまけに過去も変えられない…。”

”変わることは不可能なのかもしれない…。”

そう思って絶望する美世。

「あなたの謝罪は不愉快よ。すればするだけ伝わる謝意は薄まるの。価値のない謝罪は鬱陶しいだけ。」

その言葉は以前言われた言葉。

美世は忘れてはいませんでした。

でもまた美世は同じことを繰り返してしまったのです。

自分は愚かだとさらに落ち込む美世。

「あたくしはあなたに同情などしなくてよ。その謝罪も許さないわ。認める気もないわ。」

芙由はきっぱりと言い切りました。

それは彼女の強さ、確固たる意志が彼女の中にあるからなのです。

”そんな強い人と、もっと打ち解けたかった…。”

美世はそう思って自分の不甲斐なさを心の中で嘆くのでした。

リボン

「でも…。」

そのとき、芙由が意外な言葉を続けました。

「でも、あなたは清霞さんの婚約者としての務めを正しく果たしていたのでしょう。」

”え!”

その言葉に驚く美世。

俯いていた顔をパッと上にあげました。

「勘違いしないでちょうだい。あなたは不細工で礼儀知らず。教養もなければ気高さ、誇り、自尊心すら欠片もないの。」

「人としても最低限の水準しかない娘よ。」

散々な言い様の芙由。

「でも、あなたは自分に異能があると反論も誇ることもしなかったわ。」

芙由は小さな声でそう呟きました。

その言葉は無意識に呟いてしまったようで、言った芙由もハッとしていました。

それから、芙由はさらに言葉を続けます。

「清霞さんのために動く心意気だけはぎりぎり認めてあげてもいいかもしれないところに達しているかもしれなくてよ。」

そのかなりややこしい言い回しにぽかんとしてしまう美世。

脳が理解しきれずに「はあ」と気の抜けた返事しかできませんでした。

その反応の鈍さに少し恥ずかしくなる芙由。

「も、もういいわ。とにかく手をお出しなさい!」

そう言われて、美世が訳も分からず手を差し出すと、手のひらに軽いものが載せられました。

それは可愛らしいレースの白いリボンです。

ますます意味がわからない美世。

「あたくしが娘時代に使っていた、そうゴミ同然の安物。あなたにはそれがお似合いよ。」

声を張り上げてそう言い放つ芙由。

「あの、これ、くださるのでしょうか?」

美世は尋ねました。

「そ、そんなわけないでしょう。ゴミよ。捨てておきなさい。もしそのゴミを欲しいなら持ち逃げしてもよろしくてよ。」

繊細に編みこまれた高価そうなレースのリボンは、大切にされていたようです。

今までとっておいたのだから、きっと芙由にとってもゴミなどではないはず…。

戸惑う美世を残して、芙由は嵐のように去っていきました。

残された美世はぽかん…と立ちすくむのでした。

似たもの親子

「これは…いったい。」

手のひらのリボンを見つめながら、途方に暮れる美世。

するとナエがその疑問に答えてくれました。

「申し訳ございませんでした。そのリボンは受け取られた方がよろしいかと。推測ではありますが、贈り物のつもりかと。」

ナエが言うのなら間違いないと思うけれど、先ほどの言動から贈り物とは到底思えない美世。

「奥さまは何か思うことがあったのだと思います。そのリボンは奥さまが若奥さまを認められた証のようなものでしょう。」

あれだけ貶されたあとで、そう信じるのは難しい美世は、半信半疑でそのリボンを見つめていました。

「若奥さま。よろしければ、お着替えのあと、そのリボンで髪を結いましょうか?」

ナエのその提案は素敵でした。

白いリボンは、その薄紫のワンピースによく合いそうなのです。

ナエが美世に微笑みかけました。

「奥さまは気性が激しく、厳しい方です。でも心根はそう悪い方ではないのです。ただ素直でない言動が目立つだけで…。」

「昨日村の方のために尽力される姿を見て、奥さまは感心なさったのでしょう。もちろん言葉にはしませんけれども。」

”わかりづらい言動。”

”一本筋の通った性格。”

なんだかとても似ている人を良く知っている…そう思う美世。

「ふふ。」

美世に小さな笑いが漏れました。

”旦那さまとお義母さま…似ているのだわ。”

そう思うと、少しだけ心が軽くなる美世。

ナエが美世に言いました。

「使用人一同、若奥さまには喜んでお仕えしたい所存です。ですからまた来てくださいませ。」

美世の心に希望の光が差し込みます。

それはまだ淡くて小さいけれど。

「はい、また。ぜひ。」

美世はにっこり笑って着替えにとりかかるのでした。

可愛い

仕度が済んで、玄関ホールに向かった美世。

陰からそっと覗くと、清霞たちはもう準備万端の様でした。

思い切ってワンピースを身に付けたものの、美世は恥ずかしくてなかなか姿を現せません。

すると背後から甲高い声がしました。

美世が振り返るとそこには優雅に立つ芙由がいます。

「あなた何をしているの?」

不思議そうな芙由。

「数えきれないあなたの欠点に、意気地なしも追加しなければなのね。」

そう言って美世をじろりと見つめました。

「そのリボン…本当に付けたのね。まあ、少しはましよ。仮にも元はあたくしのですから、当たり前ね。」

ハーフアップしてお嬢さま結びにしてもらった美世の髪型。

そこには芙由のリボンが揺れています。

「ありがとうございます。」

美世は心からの感謝を芙由に伝えるのでした。

芙由は当然だわ、とそっぽを向き、そして不意に美世の背中をトンと押したのです。

そのため、美世は思いがけず、玄関ホールに姿を現すことになりました。

皆の視線が一気に集中し、美世は恥ずかしくてたまらなくなります。

「ああ、美世さん。洋装も似合っているね。」

正清が美世の姿を褒めました。

そして、新も口を開きます。

「美世。とても素敵ですよ。美しくて可愛らしい。ずっと見ていたいぐらいですよ。」

かなりの褒め言葉に美世は頬が熱くなりました。

そのままもじもじしながら目を泳がせていると清霞と目が合います。

その瞬間、清霞は優しく微笑みました。

「あの、旦那さま。どうでしょうか?」

つい聞いてしまった美世。

「ああ、とても似合っている。可愛い。」

素直にそう褒める清霞。

その言葉に、美世は喜びと、驚きとでいっぱいになります。

まさかそんなことを言ってくれるなんて思いもしなかった美世。

”すごくうれしい。”

天にも昇るような気持ちでした。

そのやり取りを見ていた正清と芙由。

「あの堅物の愚息が…可愛いだって。芙由ちゃん。これはもう認めるしかないね。」

正清はに笑いながら芙由に話しかけます。

「知りませんわ。だらしないにやけ顔で。帝国男児と言うのに、女を褒めて。そんな息子に育てた覚えはありませんわ。」

そう言ってプンとする芙由でした。

別れ

形式的な別れの挨拶の後で、正清が美世と清霞そして新とそれぞれに声をかけてくれました。

まずは清霞に。

「清霞。結婚式には呼んでね。」

清霞の返しはあっさりと。

「気が向いたら。」

次は新に。

「薄刃のお坊ちゃんも今度は観光でおいでね。」

新は笑います。

「次は温泉に入りに来ます。」

そして美世に。

「美世さん。清霞のこと…頼むね。」

美世は素直に。

「はい。」

最後に全員に向かって。

「みんな身体に気をつけて。」

その言葉に対し、清霞がぽそりと呟きます。

「それはあなただ。」

そうして、正清たちに見送られて3人は帝都へと向かうのでした。

第6章の感想:キャラ変?ちょっと清霞さまのデレがすごい!そして甘水直…って誰だよ!

ちょっと、ドキがムネムネ(古い!)状態です。

き、清霞さまったら!

キ、キ、キスですか?

やだ、告白を通り越してのキス

口づけって言った方がいいですかね。

ちょっとそっちの方が色っぽい言い方に聞こえるかも…。

はい、もうこの第6章の全てが清霞さまの口づけに持っていかれましたよ(そんなことはないけど(笑))!

衝撃的ー。

おかげさまで甘水直とかどっかいきましたよ。

すっかりとどろりと穢れた私の心が洗われるような純愛に、震えております。

美世にはまだ早いな、とか思ってるんでしょ。

そんなのわかってるくせに口づけしちゃうの?

悪い男だな!

そこも、いいんですけどね。

そんな感じの第6章でした。

本当は、口づけ以外にも、なんだか大変な騒ぎが盛り込まれていたんですけどね。

甘水直とか出てきて、これは美世になんかしてくるなと思いましたし。

なぜか芙由との関係が少し良くなってきているし。

薄刃問題も大変そうだし。

結構波乱万丈なお話でもありました。

まあ、芙由との関係が良くなってきただけ、良しとしましょう!

清霞さまの熱烈プロポーズも見られたし、今回は悲しいばかりの美世じゃなくて良かったですよね。

これはきっと嵐の前の…的なやつなんでしょうけどね。

終章はどうなるのか。

確実に、甘水問題は解決しないでしょう。

とりあえず、次の巻を念頭に置いて、3巻最後の終章を楽しみたいと思います。

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