わたしの幸せな結婚(小説版)1巻第2章のネタバレあらすじに感想も

こちらの記事では、わたしの幸せな結婚1巻の第2章のネタバレを紹介しております。

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目次

わたしの幸せな結婚1巻 第2章のネタバレを紹介!

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第2章:はじめてのデエト

泣き顔

「美世さま。お裁縫道具をお持ちしましたよ。」

朝食後、ゆり江が頼んでいた裁縫道具を、美世の部屋まで持ってきてくれました。

「ありがとうございます。こんな高価なもの、わたしが使っていいのでしょうか?」

美世の問いにゆり江はふふふと笑います。

「もちろんですよ。」

美世は、自分が何も持たずに久堂家に来てしまったことを申し訳なく思いつつ、ありがたく裁縫道具を受け取りました。

そして、思い切って朝のことを聞いてみます。

「あの、ゆり江さん…。旦那さまは朝のこと、怒ってらっしゃいませんでしたか?」

するとゆり江は不思議そうな顔をしました。

「怒る?坊ちゃんがですか?」

”いきなり泣いたりして、嫌な思いをしたに違いないわ。醜い泣き顔を見せてしまって…。”

思い返すと落ち込むやら恥ずかしいやらでうつむいてしまう美世。

するとゆり江は目を丸くして驚きます。

「まさか!そんなことありませんよ。」

ゆり江がそう言うものの、美世は不安でいっぱいでした。

実家にいる頃は存在自体が不快だと言われ、涙などこぼせば醜いとますます顔をしかめられていた美世。

美世はそんな生活の中で、夢の中以外で泣くことはなくなってしまっていたのです。

「美世さま。泣くことは悪いことではありません。ため込んでしまうほうがよほど悪いのですよ。」

ゆり江はそう優しい口調で美世を慰めました。

「自然に流れた涙はそのまま流せばよいのですよ。そのくらいで坊ちゃんはお怒りになりませんよ。」

ゆり江の言葉を聞き、美世は少し心が落ち着きます。

しかし、見鬼の才もない自分はいずれここを出て行かなければならない…と思う美世。

”この生活は一時のものだから、勘違いしてはいけないわ。”

そう自らを戒めるのでした。

話が終わると、ゆり江は台所にいると言って立ち上がります。

「ゆり江はお昼の準備をしますから、美世さまはどうぞそのままで。」

手伝おうとする美世を上手く押しとどめて、ゆり江は部屋を出て行ってしまいました。

”自分のことなど、後回しにしなければならないのに。これでは本当に役立たずだわ。”

そう落ち込む美世でしたが、せっかくゆり江が作ってくれた時間なのだからと、早速衣服の修復に取り掛かります。

そんな美世の姿を、ゆり江は襖の隙間からそっと見つめるのでした。

お誘い

美世が久堂家に来てから10日程経った夜…。

「お前は日中何をして過ごしているのだ?」

夕食をとりながら、久堂が美世にそう問いかけます。

美世は少しずつこの家に慣れてきたようで、朝晩の食事を、平常心で久堂ととれるようになっていました。

美世にとっては立派な地位にある男性と食事をとること自体、多大な勇気を要する一大事だったのです。

「あの、ゆり江さんに、雑誌を借りて…読んだり…しています。」

それも事実でしたが、美世は事実の半分を隠して話していました。

本当は破れた衣服の修復などもしている美世。

しかし、それを話せば新しい着物をねだっていると思われそうで嫌だったのです。

久堂やゆり江に嫌われたくない、誠実でありたい…美世はそう思っていました。

ただ、事実を話せば、実家の告げ口をするようなことになってしまう…。

なので、どうしても隠してしまう部分が多くなってしまうのです。

”誠実でありたいのに隠すなんて矛盾しているわ。”

思わずうつむいてしまう美世に、久堂はそうかとうなずいて黙ってしまいました。

そして、夕食が終わろうと言う頃、久堂は再び口を開きます。

「実は今度の休日に出かけるのだが、お前、街に行きたいと思わないか?」

急な問いかけに驚く美世。

美世は高等小学校を卒業して以来、斎森家の敷地内からほぼ出ずに過ごしてきました。

なので、行きたいかと聞かれても、自分の気持ちがよくわかりません。

ただ、自由に使えるお金もなく、街に心を躍らせる年頃ももう過ぎてしまった美世に、街への憧れはありませんでした。

「あの、わたし、行けません…。」

そう答える美世。

久堂は不思議そうな顔をしてなぜかと聞きます。

「用事もないですし、ご一緒にだなんてご迷惑は…。」

美世の言葉にため息をつく久堂。

「迷惑ではない。用事もなくていい。私に付き添っていればいいだけの話だ。」

久堂がそう言うものの、美世はまだ抵抗があるようでした。

「でも、お邪魔では…?」

久堂は美世にはっきりと言います。

「まったく邪魔ではない!服装は、ここに来た初日の着物でいい。他に心配はあるか?」

ここまで言われて美世はもう断れませんでした。

「ではそのつもりで。ごちそうさま。」

そう言って席を立つ久堂。

”また旦那さまを呆れさせてしまったかしら…?せっかく気を遣って誘ってくださったのに…。”

美世はうなだれてしまいます。

”でももう決まったのだから、旦那さまに恥をかかせない様、不快にさせない様、今から準備しておかなければ…!”

一人残された居間で、不安と緊張と、そして楽しみな気持ちと気の重さが入り混じった複雑な思いを抱える美世でした。

母の夢

その夜も、美世はまたを見ました。

実は久堂家に来てからと言うもの、毎晩悪夢を見ている美世。

しかし、今回の夢は、いつもとは違う感じの夢…。

暖かな春の日、斎森家の庭の桜の木…そこには薄紅の花が満開に咲き誇っている風景が広がっていました。

斎森の庭に本当にあったその桜の木

美世の母親…薄刃澄美が嫁いでくるときに植えた木で、彼女が亡くなった1年後に枯れてしまっています。

なので、まだ咲いているということは、澄美がまだ生きている時を夢にみているのでしょう…。

木の下に、ぼおっと立つ女性の姿。

”お母さま…。”

美世にはすぐにその人物が誰か分かりました。

それは艶やかな長い髪に、お気に入りの桜色の着物を着て、華奢で美しい美世の母親・澄美

まるで桜の精のような女性でした。

「○○○○…。」

その母親がこちらに向かって何か伝えようとしています。

「…え?」

美世は必死に声を聞こうとしますが、遠くて声が届きません。

「お母さま。なんと仰っているのですか…?」

澄美はしきりに何かを繰り返しているようですが、全く聞こえないまま。

すると突然一陣の強い風が通りぬけます。

美世がとっさに目を閉じると、澄美の声が頭に響いてきました。

「待ってください。真一さま。違うのです。」

必死な澄美の声。

「何が違うと言うのだ。美世は異能を持たない。それ以外に何がある。」

そして父親、真一の声も。

見鬼の才のある者は、赤ん坊の頃から人ならざるものを感じるにも関わらず、美世にはそれが全くありませんでした。

なので、美世はすでに澄美が生きていた頃から、真一に異能なしと半ば見放されていたのです。

「異能と何も関係がない家だったら、その子を愛せただろう。」

そう冷たく言い放って去っていく真一。

愛する恋人と引き裂かれ、望まぬ結婚を強いられ、そして生まれたのが無能の娘。

美世にも真一の絶望を察することはできました。

真一から冷たい言葉を投げかけられた澄美は、泣きそうな声で小さく呟きます。

「ごめんなさい。美世。ふがいない私を許して…。でも大丈夫よ。あなたがもう少し大きくなったら…。」

そこで美世の頭の中に響いていた声が途切れました。

目を開くと、そこに桜の木はありましたが、もう澄美の姿はありません…。

”大きくなったら?どういうことかしら?”

そこで美世は夢の世界から追い出されたのでした。

痛んだ髪とお化粧

今日は久堂と出かける日。

部屋の中には、鏡の前でいつもより念入りに髪を梳く美世がいました。

使用人からおさがりでもらった歯の欠けた櫛では意味がないかもしれないと思いつつ、一生懸命時間をかけます。

”お母さまはすごくきれいだった…。”

夢の中で会った、母親の髪はまっすぐで艶やかで美しかったことを思い出す美世。

”きちんと手入れをすればあのようになれるかしら?”

そう思って美世は自分の髪を確かめます。

しかし、痛んだ髪を見て、無理そうだとため息をつきました。

派手な着物に傷んだ髪の自分…。

美世は鏡の中の自分を見て、美しい久堂と出かけるのが憂鬱になります。

「美世さま、お化粧はされませんか?」

ゆり江がニコニコしながらそう美世に尋ねました。

その言葉に美世はぎくりとします。

身だしなみに必要とはわかりつつも、道具のない美世にはお化粧などできなかったのです。

「ええと、わたし、お化粧が上手くなくて…。」

おろおろしながら答える美世にゆり江は言います。

「それならゆり江にお任せくださいな。お道具もありますからね。」

”ゆり江さんはもうわたしがあまり物を持っていないことに気が付いているのね…。”

そう考えて、美世は恥ずかしくなります。

しかしゆり江はそんな美世をよそに、てきぱきとお化粧を施してくれました。

「そろそろ出たいのだが。」

お化粧が終わるのと同時に、襖の外から久堂の声がかかります。

「は、はい。今行きます。ゆり江さん、ありがとうございました!」

美世はお礼を言って、自分の顔も見ずに部屋を飛び出しました。

そこには紺色の着物に生成色の羽織姿の久堂。

「も、申し訳…いえ、お待たせいたしました。」

美世の申し訳なさそうな顔を見て久堂は言います。

「急かして悪かったな。さあ、行こうか。」

出発

自動車に乗り込んで移動する二人。

「あ、あの。今日はどちらに行かれるのですか?」

美世が尋ねると運転しながら久堂が答えました。

「まず、私の仕事場に行く。」

その答えに美世の手は緊張で震えます。

”帝国陸軍の本部!?”

そんな美世の驚きを正確に察したらしい久堂。

かすかに苦笑しながら言いました。

「そんな顔をするな。陸軍本部ではない。ただこの車を置きに行くだけだ。」

久堂の言葉にホッと息を吐く美世。

隊員たちと顔を合わせることもないと思うという久堂の話に、ようやく落ち着きを取り戻しました。

そんな話をしているうちに、あっという間に最初の目的地。

久堂の仕事場である対異特務小隊の建物にたどり着きました。

自動車を適当な場所に停めて、街に行こうとしたその時、背後から声をかけてくる者がいます。

「あれ?隊長?」

現れたのは若い軍服の男。

「五道か。」

久堂は面倒そうな表情になります。

「今日は休みでしたよね。そちらの方はどちら様ですか?」

柔らかい表情を浮かべてちらりと美世を見る五道。

思わず美世が気後れすると、久堂が遮ります。

「私の連れだ。詮索するな。」

久道の冷たい態度に慣れているのか、特に気にする様子もない五道。

「ふーん。では。」

そう言って去っていきました。

美世は軽く頭を下げます。

「あの男は私の側近で異能者だ。ああ見えて、異能者としてはできるほうだ。不本意だがな。」

久堂がそう説明してくれました。

街へ踏み出すと、急に喧噪が美世の耳に飛び込んできます。

いろんな建物、人々。

久しぶりの街の空気は独特で、美世は少し自分の心が思ったよりもウキウキするのを感じていました。

「行きたいところはあるか?」

そう尋ねる久堂。

まさか希望を聞かれると思わず、美世はビックリして答えられません。

「買いたいものはないのか?」

さらにそう聞かれて、特にはないとしか言えませんでした。

物欲もお金もない美世は本当にお付き合いのつもりだったので、いきなり聞かれても浮かばないのです。

「そうか、では私の買い物に付き合ってもらおう。」

久堂は少し表情を緩ませながら、そう言うのでした。

久堂と歩きながら、美世は街の様子についつい見入ってしまっています。

久堂はそんな美世を穏やかな表情で見守っていました。

「楽しいか?」

思わずそう聞いてしまった久堂。

そこで美世はハッとした様子になります。

「申し訳ありません。わたし…夢中になってしまって。」

お上りさんのような行動で、久堂に恥をかかせてしまったのではと思う美世。

恥ずかしくてうつむいてしまいます。

「気にすることはない。好きなだけ景色を楽しめ。私も、誰も、それを咎めたりしない。」

久堂はそう言いました。

「で、でも…。」

まだうつむいたままの美世。

その頭にそっと大きな手がのせられます。

「お前を誘ったのは他の誰でもない。私だ。迷惑などと考えなくて良い。いいな。」

美世はその言葉にそっと頷きました。

またゆっくりと歩き出す二人。

美世は久堂がそっと歩調を美世に合わせてくれていることに気が付きます。

その優しさに美世は涙が出そうになりました。

”この方のどこが冷酷無慈悲なのだろう…。こんなに優しいのに。”

すずしま屋

「ここが目的地だ。」

そう言って久堂が入ったのは大きな呉服店でした。

それも老舗で高級な。

「ここは『すずしま屋』。久堂家がむかしから贔屓にしている店だ。」

美世は圧倒され、緊張してしまいます。

柄も色もなんとなく似合っていない着物を着た自分が急に恥ずかしく思えました。

「いらっしゃいませ。久堂さま。」

そこにこの店の女主人と思しき品の良い女性がやって来て、二人に丁寧に頭を下げました。

「さっそくですが、事前にご連絡いただいたお品はこちらに何点か選んであります。奥へどうぞ。」

美世はその二人の様子を伺います。

奥について行けばよいのか、どうしたらいいかわかりません。

すると店員の女性が話しかけてくれました。

「お嬢さまもこちらへそうぞ。ぜひ店内をご覧くださいませ。」

そこで、美世は店を見て待っていることを選択しました。

「旦那さま。わたしはお店のものを見せていただいてお待ちしています。」

おずおずとそう申し出る美世。

「好きにするといい。気に入ったものがあれば言え。帰る時に買おう。」

久堂はそう言って店の奥へと入って行きました。

”何かを買ってもらうなど、恐れ多いわ。”

美世はそう思います。

場違いをひしひしと感じながら、美世は女性店員と店の中を見て回るのでした。

奥の部屋へ女主人の桂子と入った久堂。

その部屋全体には波打つように美しい女性の反物が並んでいました。

「ふふふ。久堂の坊ちゃんもやっとですわね。」

そう笑う桂子。

子どもの頃からの付き合いがゆえ、久堂に恋人すらろくにいなかった過去を良く知っていました。

「別にそういうことではない。」

久道がそう言うも、桂子は笑ったまま。

「恥ずかしがらずとも。お坊ちゃんが女性を連れてくるなんて初めてじゃないですか?」

桂子は少し困ったような顔の久堂を冷やかすのでした。

桜色の着物

今日久道がここへ来た理由。

それはゆり江の報告を聞いたからでした。

「美世さまは古着をご自分で繕われて着ております。」

しかもそれを知られたくない様子だったとゆり江は話していました。

美世の着物については気になっていた久堂。

どれも貧しい農民、もしくはそれ以下の着物…。

さすがに心が痛んだ久堂は美世に着物を買ってやろうと思って『すずしま屋』に来たのでした。

桂子に冷やかされても、特に特別な気持ちがあるわけではないと自分に言い聞かせる久堂。

「で、なにか彼女に合いそうな品はあるか?」

そう桂子に尋ねます。

「ふふ、そうですわね。こちらの淡い色のものが良いかと。」

久堂はその言葉に頷きました。

いくつか選んだ後、久堂はふとある反物が目に入ります。

それは美しい桜色の反物

”この色は似合うだろうな…。”

そう思った久堂。

「これで仕立ててくれ。」

その反物で着物を作ることを桂子に依頼します。

しかし、桜の時期はもう終わり…。

「あら?季節が…?」

久堂の依頼に少し躊躇する桂子。

しかし久堂はそれでも大丈夫だと言います。

来年、また着られるしな。」

”来年”という言葉にニコニコしながら桂子は依頼を引き受けました。

着物数点、そして帯や小物まで。

久堂は次々に注文していきます。

「そうそう、こちらは今日お持ち帰りになりますね?」

そう言って桂子は久堂に木箱を手渡しました。

「ああ、ありがとう。」

それは久堂があらかじめ頼んでおいた品物

大事そうに懐にしまう久堂を見て、桂子は目を見開いて強い口調で言います。

「いいですか?あのお嬢様は決して話してはいけません。」

急な桂子の勢いに圧倒される久堂。

「あの方は原石…。磨けばどんどん美人になりますわ!今日お買い上げいただいた品々は始まりにすぎませんよ。」

「愛と財力で磨き続けてください。」

盛り上がる桂子の言動に久堂はため息をつきます。

「愛とかそういうものではないと言ったはずだが…。」

しかし久堂は、美世を美しく着飾らせるのも悪くないなと思う自分がいることに気が付いていました。

遠慮

久堂が部屋から出ると、美世が反物をじっと見つめている姿が目に入ります。

その視線の先にはあの桜色の反物がありました。

寂しそうな顔でじっと見つめる美世。

「…お母さま…。」

そうそっと呟いていました。

「それが気になるのか?」

久堂が話しかけると、久堂の存在に気付いて美世は大慌て。

「だ、旦那さま!いえ…欲しいとかではなく、母…の形見…に似たような着物があったので見ていたのです。」

美世の反応から、今はもう手元にないのだろうと久堂は推測します。

「他に何か気になるのはあったか?」

その久堂の問いに、間に合っているから大丈夫と美世は必死に断りました。

自分から欲しがることは決してない彼女。

久堂はきっと遠慮してしまう美世のことを思って、今日ここに来た理由を話していませんでした。

”言えば申し訳なさでいっぱいになり、死にそうな顔になっただろう…。”

そんな美世を思い浮かべながら久堂は自分の判断が間違っていなかったことを確信します。

「では行こうか。」

久堂はそう言って店を出るのでした。

望んだ生活

店を出ると、久堂は美世を甘味処に連れて行きました。

休憩と腹ごしらえ…を兼ねて。

美世は散々迷って、安価で店のおすすめのあんみつを頼みます。

同じテーブルにいつもより近い距離の久堂…そして久堂の美貌に目を奪われた人々の視線…。

久堂から上手いかと聞かれても、美世はあんみつの味がしないぐらい緊張していました。

久堂は絶世の美青年なので、どこに行っても視線が集まってしまいます。

そして、美世には嫉妬の視線が集まりました。

”自分はただの付き添いだと弁明したい!”

そう100回ぐらい思った美世。

しかし、少し気分の良さそうな久堂の表情を見ると、その気持ちも和んでどこかにいってしまいます。

「あまり美味しいと思っている顔じゃないな。」

美世は緊張で表情が硬かったので、久堂は不思議に思ってそう聞きました。

美世は慌てて否定します。

滅多に食べられない甘味が美味しくないはずがありません。

今の美世は緊張で味が分からないけれど…。

「お前は笑わないな。」

久堂が美世を見てそう呟きます。

「それは…申し訳ありません…。」

美味しそうな表情さえもできない自分に気分を悪くしたのかもしれないと思う美世。

「いや、責めている訳じゃないんだ。ただ、笑った顔が見たいというか。」

美世は久堂の言葉に首をかしげてしまいます。

「旦那さまは、その、あの、変わっていらっしゃいますね?」

予想もしない久堂の話に、思わず美世はそう口にしてしまいました。

そしてハッと気付いて謝ります。

「も、申し訳ありません!わたし…生意気なことを。」

”久しぶりに街に出て、浮かれてしまっていた…主人に対して失礼な発言をしてしまった…。”

美世はそう思って縮こまってしまいます。

すると久堂は美世をなだめるように言いました。

「私は怒っていない。そんなふうに小さくならなくていい。」

そして、こう続けます。

「私たちは結婚する仲なのだから、思ったことは何でも言い合える方がいい。」

「お前が素直な言葉を口にする方が私は嬉しい。」

美世はその言葉に固まってしまいました。

”旦那さまは私が無能で教養さえもないことを知らない…。久堂家の嫁など務まらないのに。”

本当のことを言わなければと美世はずっと考えていました。

しかし、言い出せなかったのです。

それは美世が、少しでも長く久堂と暮らしたい、支えたいと思ってしまったからでした。

”あとでどんな罰でも受けます…。”

もう少しだけこのままでいさせて下さいとそう願いながら、美世は久堂に言いました。

「わ、わかり、ました。これからは、ちゃんと、言い、ます。」

美世の言葉に久堂は満足そうに微笑みます。

”もう少しだけ、この時間を過ごしたら、旦那さまに本当のことを言おう…。”

柔らかな微笑みの前で、美世はそう固く誓うのでした。

贈り物

美世が急に陰鬱な表情になったことに久堂は気付いていました。

しかし、理由は聞きませんでした。

そのまま甘味処を出て、散策したり書店を覗いたり、公園に花を見に行ったり。

行く先々で新鮮な反応をする美世。

美世と過ごす休日は、久堂にとって、とても楽しいものでした。

夕食を済ませ、家に帰りつくと、美世は久堂にお礼を言います。

「旦那さま、今日はありがとうございました。」

まだ緊張した面持ちの美世に、打ち解けるのにはだいぶ時間がかかりそうだと思う久堂。

「少しは楽しめたか?」

そう聞く久堂に、美世はとても楽しかったと答えました。

久堂は懐に入れた箱にそっと触れます。

それは美世に渡そうと思っていた品物でした。

しかし、やはり今はやめておこうと思う久堂。

”面と向かって渡すと重荷になるかもしれない。”

そこで、久堂は美世がお風呂に入っている間に、部屋の前に置いておくことにしました。

いくら遠慮の塊の美世でも、部屋の前に置いてあるものは受け取らざるを得ないと考えたからです。

箱をそっと置いた後、久堂は美世が気付くのを居間で待つことにしました。

パタパタパタ。

しばらくすると、美世が急いで居間にやって来る足音が響きます。

「だ、旦那さま。こ、これ…。」

そう言って居間の扉を開ける美世。

大事そうに箱を抱き締めて。

驚いている美世の顔をを見て、久堂はぶっきらぼうに言いました。

「大人しくもらっておけ。」

そんな久堂に美世は尋ねます。

「置いたのは、旦那さま、ですか?」

そう言って美世が箱を開けるとそこにはが入っていました。

上等のつげの櫛

「さあ。」

久堂はしらばっくれます。

本来、男性が女性に櫛を贈るのは”求婚”を意味し、初めての贈り物には向いていないのです。

しかし、今の美世に実用面で必要なのは櫛…そう考えた久堂は櫛を選んだのでした。

誤解しない様、重荷にならない様、美世に配慮して、部屋の前に置くという選択をした久堂。

「こんな高価なもの、いただけません。」

久堂の予想通り恐縮する美世。

「気にせず使え。深い意味など考えなくていい。」

そう言って久堂は櫛を受け取るように勧めました。

そして美世の顔をちらりと覗きます。

すると久堂は目を丸くします。

美世が、ほんのわずか、笑っている表情が目に飛び込んできたからです。

美世は無意識に顔をほころばせていました。

それは無垢で美しい笑み

「大事に使わせていただきます。」

そう言って宝物のように櫛を見つめる美世。

「そうしろ。」

そう言う久堂の声は震えてしまいました。

名前のわからない感情が身体の中から湧きあがって来たからです。

その感情…久堂にはそれが何かわかりません。

”感動?興奮?色々混ざっているような…。”

考えた末、久堂は強いて言うならば、と結論付けました。

”これは、愛しさ、か。”

美世と薄刃家

二人で出かけた日から数日後…久堂は、とある書類を仕事場で眺めていました。

それは美世についての調査書

久堂は美世のことを調べていたのです。

斎森家に関わる人間の口は重く、調べるのに時間がかかっていました。

そんなこんなでようやく提出された調査書。

その内容はとてもひどいものでした。

実の母が亡くなり、継母がやって来て、美世は侮られ、虐げられ…異能もないので必要ともされず…。

下僕のように扱われて食事ももらえず…。

美世が娘として扱われなかった実情が詳細に記されていたのです。

”あの痩せこけた身体もぼろぼろの古着も、笑うことさえできないのも…。”

”全部斎森の者たちが原因だったのか。”

久堂は調査書にしわができるほど手に力が入りました。

美世に負担を強いた人間へ怒りが沸いたのです。

”しかし、私も来たばかりの彼女にひどい言葉をぶつけてしまった…。”

久堂はそんな自分を悔やんでいました。

”だがこれでわかった。彼女には異能がない。見鬼の才も。だから結婚は成り立たないと考えているのだろう。”

”過剰に遠慮がちなのは、いずれ出ていくつもりなのだ。”

久堂はようやく美世の行動の意味が理解できたのです。

調査書には気になることも書いてありました。

それは美世の母が薄刃家の娘と言うこと。

じつは薄刃家の異能はとびぬけて異質で危険なものでした。

人の心に干渉する力を持つのです。

記憶を操作したり、夢に入り込んだり…相手の自我を消したり幻覚により錯乱させたりと、薄刃家の力は大変強力。

それ故、薄刃家の一族は決して表舞台には出ず、ひっそりと暮らし、その血を外に出すことを避けているのでした。

なので、美世の母、薄刃澄美が斎森家に嫁いだのは極めて例外的で珍しいことだったのです。

「はあ。」

久堂は調査書を読んでため息をつきました。

正直、久堂にとって、美世が嫁いでくれることはこの上なく望ましいものでした。

異能のあるなしなど、もはやどうでもいいことなのです。

あの家にいて、安らぎを与えてくれる女性を久堂は求めていて、美世はそれを叶えてくれる存在でした。

しかし、薄刃家については得体が知れずに不気味なのです。

久堂の力を持ってしても、薄刃家に接触するのは極めて困難。

「どうしたものか。」

久堂には良い案が見つかりませんでした。

追手

久堂が美世と薄刃家の事を考えていると、すっかりと日が暮れていました。

帰り支度をして仕事場を出ます。

久堂はふと自分の帰宅時間が早まっていることに気が付きました。

それは玄関で出迎えてくれる美世の姿に安堵を覚え、美世と食事の時間が取れるようにするため。

”らしくない。”

そう思う久堂。

女性に対して苦手意識しかなかった久堂は、美世とは好んで同居している自分がなんだかおかしく思えたのです。

そう考えていると、背後から不穏な気配を感じました。

生身の人間でない何かが久堂を付けていたのです。

”とんだ命知らずだな。”

久堂は呆れたように指先を少し動かしました。

すると手のひらほどの大きさの髪が無数に引きずり出されます。

「くだらないことをする。」

久堂がそう呟いて手を動かすと、その無数の紙は青い炎に包まれて燃やし尽くされてしまいました。

大したことのない相手でしたが、なんとなく嫌な予感がする久堂。

美世の待つ家に急いで帰るのでした。

第2章の感想:なんだかいい雰囲気?少しずつ近くなる距離…薄刃家の謎も気になる…!

はあー。

もう一気に読めてしまいました。

初めてのデートが描かれた第2章。

ようやく久堂が美世のことを理解してくれたお話でした。

なんだかいい感じに傾いてきましたね。

第1章が本当に切ないお話だっただけに、ぎゅんと気持ちが上がりました!

久堂さま…素敵すぎる。

着物と櫛のプレゼントなんて…最高に良き。

しかも、そっと櫛の入った箱を部屋の前に置くとか!

美世のことを考えてくれていますよね。

美世も嬉しそうだし、本当に良いお話でした。

丁寧に描写されているので、文字から絵が浮かんでくる様!

おかげでニヤニヤキュンキュンしっぱなしです。

そして、こちらの第2章!

控えめに書かれてましたけど、絶対久堂さま、”頭ポン”しましたよー!

手をのせた…という描写でしたが、絶対絶対”頭ポン”です!

そこの部分で、一気にテンションMAXになった私…。

終始ドキドキしながら読み進めました。

しかも、文中で、美世のことを”結婚相手に、この上なく、望ましい”って…久堂さまはお考えになっていらっしゃる…。

も、キャーですよね!

”なんだ、これもう美世のこと、好きでしょう?”って思いますよね!

でもですね、やっぱりぶち込んでくるわけですよ。

不穏な空気が。

物語的には浮き沈みが当たり前の事なんですけど、すでに美世にだいぶ感情移入してるもので、”え?”ってなるわけです。

そんな不穏な空気の原因、「薄刃家」って何なんでしょう。

美世の夢もその力のせい?

もしかすると、実は美世も異能持ちとか?

気になることがどんどん増えますね。

ということで、続きまして第3章、早々に読み進めたいと思います。

謎は全て…解けるか⁉

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